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旧カミカゼ。  作者: 笹倉亜里沙
-ロク-
28/66

code:10「戦闘」

『た・・・・・・い・・た・・・お・・・・・・たいち・・・。

・・・た。隊長。起きろ、起きるんだ。起きろ!』


(・・・・誰?・・・・誰ですか?・・・・すすの・・・きさん?)


隊長が一番最初に気づいたのは、何かの声がするのと。

綺麗に歪んでいる視界と。吐き気のする意識だった。


『早く起きろ!敵はもうすぐそこまで――』


煤野木が言い終える前に。腹部に重い衝撃。


「あ。ああぁあああああっ!!」


後方に吹き飛ばされた隊長は。全てを思い出した。


(・・・・そうだ。敵が来て。軍隊を使って戦ってたら。全部撃破された後。

記憶がない・・・。・・・・・私は敵の攻撃で気絶したのですね・・・・)


更に隊長を追撃するように追ってくる触手。


「く・・・私自身は戦えないのを熟知してる・・・!」


隊長は急いで脳内で変換する。

それらを迎撃するために、隊長は前方に重装備の大型ヘリ(ペイブロウ)を作り出した。

と、同時に吐血。

自動操縦(オートモード)・・・」


血を吐き出しながら隊長は命令して、ヘリを前線へと繰り出す。

そしてその場からかなりの速度で後方へと下がった。


『カミカゼ・・・のせいか』


煤野木の、何ともいえない声が耳元から入って来る。


「・・・・大丈夫です。これぐらい何ともないですから」


隊長は未だ口元に(ただ)れる血を、手で擦り落とす。

隊長の今現在の服は、いつもと変わらない軍服軍帽だが。

黒が白へと変わり、白が主体のまるで海軍のような服装になっていた。

しかしその服装はところどころが切り裂かれたように破れている。

そして隊長はそのまま後ろに下がりつつ、空中で静止した。

前ではヘリが生身でも、機械でも構造的に耐え切れないはずの空中戦を繰り広げている。


(・・・・まさか国一個分の軍隊でも力負けするなんて・・・・)


確かに。隊長は敵を軍隊一個単体。

いや、一国を滅ぼす程度の力を持っていると考えていたのだが。

それすらも甘かった。


(・・・・・・そして、私の人生も恐らくもうない)


隊長のそれは勘だったが。何より自分の身体の事だったので。

嫌でも分かる。


「煤野木さん。貴方は過去からやって来たのですよね?」


隊長は激しく息を吐き出しては吸ってを繰り返しながら。

少しずつ冷静になっていた。


『・・・・あぁ』


何だか、煤野木は少し言うのを躊躇(ためら)いながら。しかし答える。

そして完全に呼吸が落ち着いてきた頃に。隊長は満面の笑顔になって。


「・・・・それなら。任せられますね」


(・・・・そして。揖宿さんの事も任せましたよ?)


くすり。とどこか裏のある顔付きになった直後。

前方から派手な爆発音。視界を遮る黒煙。


『ヘリが墜ちたぞ!』


煤野木の焦った声が聞こえると同時に、黒煙を掻き分けるように触手が向かってくる。


『隊長さん。一旦引け!』


煤野木の声が耳元に響くが、隊長は下がらず。

前へと突っ込んだ。

触手が身体を綺麗に串刺しにするように狙ってくるが、それらを回避する。


「・・・・・ふふふふ。ああはははははははあははははははは!」


狂気にも近い笑い声を上げながら、隊長は敵の方へと向かった。


『な、隊長自身は戦えないのだろう!?』


馬鹿な。と言いたげな煤野木だが。隊長は(なお)も迫る触手を回避する。

数本。更に近づくごとに数十。そして数百に増える触手。

しかし触手は隊長に(かす)りともしない。


「さすがに何度もやられては・・・慣れます」


ぶつぶつと独り言を高速で移動しながら呟く隊長。

敵までおよそ一キロもない距離まで近づいた辺りで。

触手の数は数千へと増える。


STG(ゲーム)じゃないんだぞ・・・・。なんだ。この数は・・・・』


馬鹿げた触手の数に煤野木は、もはや呆れる事すら出来なかった。

それらの。馬鹿げた触手が一斉に隊長へと襲い掛かる。

だが。隊長は掠りはするものの。結局は致命傷という傷は負わなかった。

そして敵との距離は零距離へ近づいた途端。

隊長は自らの軍服を左手で引きちぎるように破る。

隊長のジャケット部分には、大量の可塑性爆薬(プラスチックばくやく)

そしてそれらを起爆させる為の雷管が差し込まれていた。


「・・・・カミカゼ。っぽいですね」


隊長が嘲笑(ちょうしょう)するように呟いた途端。

大量の触手が全方向から隊長を貫ぬく。

それらの一部が雷管を爆破させて、誘爆を誘い。

辺りは強烈な爆発音と、強烈な光が埋め尽くした。



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