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旧カミカゼ。  作者: 笹倉亜里沙
-ロク-
25/66

code:7「残酷」

揖宿の発言に対して、覗いていた隊長は。


(・・・・ふふふふふ。あはははははは。あははははは!)


心の中で少しずつ笑っているのが分かった。

眼には冷たい炎が燃え。心は少しずつ冷徹に。


(・・・・もうバレちゃったんですね)


妖艶的に。口元に笑みを浮かべる隊長。

そしてまた煤野木達を角から覗き始めた。


『・・・・・嘘だと?』


信じられない。かという風な口調の煤野木。

しかし揖宿は端的に答えた。


『・・・・恐らくそうね。私達の信頼を得る簡単な方法というのもあるし。

第一、彼女は大佐の事を信頼して。隊長として生きているのでしょう?』

『・・・・確か。そう聞いている』


言いずらそうな煤野木に続けて、揖宿は特に支障なく答える。


『ここから先は推測だけれど。隊長になるのに邪魔なのは誰?

もしも大人達が先陣切って行動したら、隊長が隊長として機能しなくなる可能性もある。

男性達がもしも本当に混乱して統率を乱すとしたら。

・・・・・貴方はどうする?』

『・・・・・・・・・』

『・・・・あくまで推測だから。事実じゃないかもしれない。

だけど、隊長さんは一人の人物ではなく。一人の軍人なのよ。

・・・・・冷徹に。言われたらやる。・・・・人としての心は捨てる』


事実をゆっくりと告げる事に、煤野木の表情が険しくなっていく。

当たり前といえば当たり前だ。

そして、その表情を読み取った揖宿は。少し間を空けて。


『・・・・疑心暗鬼にさせる言葉を言って悪いと思ってるわ。

もう、この話は忘れていい。あくまで。の話なのだから』


話を強制的に終わらせた後。どこかへ立ち去ってしまった。

立ち残った煤野木は、暫く(たたず)んだ後に。


『・・・・・どうすればいいっていうんだ』


悲しそうに。呟いた後に。揖宿と同じように去っていった。

そんな中一人取り残された隊長は。


「あ。ははははははははは!!」


笑いが止まらなかった。

その笑みは、歓喜からか恐怖からか狂乱からか。

隊長の瞳の奥底には揖宿と煤野木の姿。


(うふふふふ。あはははは。素晴らしい。素晴らしいですね。その考え方!)


腰にぶら下げている大型拳銃(デザートイーグル)を取り出し、つい見詰めてしまう。

黒光りしながら、銃口は逆にドス黒い。


「・・・・戦いはあと少しで幕を開く」


そして持っている銃を腰に戻し。

隊長も同じく、その場を後にしながら笑った。

カツカツと靴と床が当たり生じる音が、廊下に響く。




次の戦いが。幕を開く。

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