code:4「基地」
唐突に切り出した煤野木に若干驚きつつ、隊長はすぐに笑って。
「えぇ、構わないです」
にこにこしながら煤野木の話を待った。
それに対して、煤野木は若干言いづらそうに。
「・・・・この基地は、どうやって出来た?」
視線を自身の持つ紅茶に向けながら言った。
「・・・・・ふふふふ。面白い質問ですね」
隊長はそう言いながら紅茶へと口を着ける。
軍帽に軍服で、更に個性的な髪型なので似合いそうにないのだが。
その光景は異様に似合っている。
(・・・・普通はここで、私の過去に何があった。だとか。聞くものですが。
敢えて、ここはどうやって出来た。なんて聞くなんて)
甘くて温まる紅茶を飲みながら、隊長はそんな事を考えていた。
そして、飲み終えた時には。
(面白いですね、煤野木さんは・・・)
紅茶に対しての笑みか。煤野木に対しての笑みか。
どちらとも捉えずらい笑顔を見せる隊長。
「ここは、厳密に言うなら私達地球人が作った物ではないです」
その隊長の答えに。煤野木は対して動揺せず。
ただ端的に返事をした。
「・・・・・・そうだろうな。意味不明な機械とかならまだ未来だから。と思えるが。
植物も水も汚染されて、動物もいないこの場所で食べ物や飲料水。
ついでに言うならシャワーを浴びる程、資源に余裕があるわけがない。
無から有を作る機械が出来てるっていうなら納得出来るが」
煤野木は、端的に答える。
それに対して隊長は笑顔のまま。解答を言うように続けた。
「そうですね。この基地は厳密に言うとカミカゼを置いていった人。・・・?
いえ、二足歩行の動物とでも言えばいいのでしょうか。彼女が置いていった遺産の一つです。
ですから、これは宇宙人の文明機器とでも言えばいいのでしょうか」
喋りながら隊長は立ち上がり、ティーカップを持ちながらテーブルへ移動していた。
そして、煤野木はある部分に反応する。
「置いていった二足歩行の動物・・・・?」
隊長は再びインスタントを取り出した後に、カップへ入れて紅茶を作る。
紅茶が少し冷えるまでの間に。隊長は返事をした。
「はい。実際には女性なのだと思いますが。私にもちょっと分からなくて」
少し困惑したような顔をしながら、隊長は続ける。
「・・・・・容姿は確かに人間ですが。中身は人間には程遠かったので」
「・・・・つまり人間の皮を被った化け物みたいな。と」
煤野木の的確な答えに。隊長は「ふふっ」と笑った後に。
「私が知ってる出来る限りの過去を。話しましょうか」
隊長はご機嫌そうにカップを持ちながら、ベッドへと座り込んだ。
夜はゆっくりと更けて行く。