erorr.code:Please do not forgive me.
咽るような血の匂い。
部屋にこびり付いた血肉と、鮮血。床には大量の死体があった。
各々がどこかしら致命傷の傷を負っており。
避けられようの無い死を迎えたことを証明している。
しかし、奇妙な事に争ったような形跡は一つもない。
もそもそと蠢く一つの人影。
その奇妙な空間にしゃがんでいた影が立ち上がる。
影はぶつぶつと死体達に呟いた。
「私は・・・・・・・・・・だから」
動かない物に対して、感情を向けているのか。
「ごめんなさい・・・」
一言、謝罪した後に自身の持つ拳銃の銃口を。
自分自身の肩に密着した状態で当てた後に。
その引き金を躊躇いも無く引いた。
反動で右腕が吹き飛びそうになるが、影は抑える。
背中側では、赤い色の血色の良い血が後ろに飛び散った。
「・・・・・・・・」
影は黙々と、作業をするように持つ銃を死体の一つに持たせる。
そして、影は死体塗れの部屋を後にした。
タンタンタン。と一定のリズムを刻みながら廊下を歩く。
怪我した方の肩を壁に擦り付けつつだ。
当然傷口が開くので、血がべったりと筆で塗りつけるように残る。
朦朧とした意識の中、それでも尚少しでも歩ければ歩いた。
その行為に意味はなさそうなのだが。
血を、怪我をしているという事が重要なのだから。
「・・・・もう無理」
ペタン。と倒れた影は。そのまま体重を壁に掛ける。
壁はひんやりとしており、影の心を映しているかのようだ。
「・・・・・まだ、まだ終わってない」
機械的に告げる影は、端から見れば不気味だ。
影は自身の懐にある拳銃を右手で取り出した後に、それを持ったまま。
「・・・・もう、後は勝手に」
ぽつりぽつりと人形が喋るように口ずさむ影。
「・・・・成功する」
そう呟いた後、影の口元が大きく釣り上がった。
嬉しさゆえか、悲しさゆえか。
それは誰に向けてなのか。誰のためなのか。
影自身にしか分からない。
「ふふふふ。あはははははは!」
闇の中、奇声を上げるかのように笑う影は。
どこか言い知れない悲しさと。喜びを併せ持っていた。
「これで、カミカゼ。は成功する。
この出来事が、私を私でいらせてくれる・・・・」
カクン。と力の抜けた左腕。
それとは対照的に掲げ上げられた右腕。
血なまぐささと、鉄の入り混じった通路には。
横たわっている影だけが取り残された。