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2.語られし伝説
滅び。
それは、廃退ではなく。
また、緩慢的に訪れる、星の寿命でもない。
絶対的な力と、絶対的な恐怖で持ってもたらされる物。
絶望。
それ以外を感じる心を忘れさせられてしまったかのように。
空は、まるで全ての色を混ぜたような混濁した黒で塗り固められ、陽の眩しさをも、思い出せないほどに。
人々は、ただ、日々を絶望と言う文字で塗り固めていっていた。
けれども、忘れ去られた伝説が。
神の詩句が人々の口から希望のように語られだす。
天空、闇に覆われ
世界揺らぐ時
人々、神に祈らん
神を称える声
天に届きし時
光と共に其の者降らん
称えよ
神の名を
称えよ
光を
伝説は、真実となって、人々に一時の希望を与えることとなった。
そしてそれは、1人の少年の、不幸の始まりでもあった。