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空を染めて  作者: N.T
見えるもの
7/47

2人の間に見えるもの――ちょっと番外編――

 ピピッ

  ピピッ

   ピピッ

「・・・・・・ん、ぐ」

 カチッ

 朝起きて一番最初に見るものは人それぞれだ。僕にとってはそれが紗の布。片端を引けば、はらりと苦も無くほどけてしまう。それからメタルフレームのメガネをかけ、僕の一日は始まるのだ。

「今日の当番って・・・・・・自分か」

 この家には4人のエージェント、1人の見習いが住んでいる。ちさ姉、涼、陸、そして僕がエージェント。ゐつが見習いだ。入ったばかりのゐつはよく知らないが、今まで一緒に住んできた仲間は、大体料理ができる。そこで、今までは日替わりの当番制で炊事してきた。まだそれは変わっていないので、今日は僕が当番のはず。

 ささっと着替えて下におりると、やはり誰も起きていなかった。とりあえず新聞を新聞受けから取り、朝飯とお弁当を同時に作り始める。まだ朝早く静かな台所に、野菜を切る音とゆで卵の鍋の音がよく響く。フライパンも加わり、昨日の晩作っておいた小さなハンバーグを焼き始めると、台所はにぎやかになり、僕は忙しくなりだした。

 それから十数分が経過。

「よし、お弁当はできたな。テーブルのセッティング、と・・・・・・」

 それができたら洗濯物だ。洗濯機にかけておいたものを庭に干す。新聞によると今日の洗濯物指数は100%。ま、よほどのことがない限り乾くだろ。

「ふぁぁ、おはよ~、隼。今日の新聞は?」

 陸が起きてきた。

「陸、おはよ。居間のローテーブルにある・・・・・・涼は?一緒に寝てるのに、起こさなかったのか?」

 ぱっと見では区別の付かない、一卵性双生児の涼と陸。いい大人であるにもかかわらずいまだに2人で一緒に寝ている。・・・・・・ただのブラコンだ。

「隼、おはよー。気分はどうだ?」

「おはよ、涼。別に、普通だけど。すこぶるいい」

 涼はエージェントでもあり、僕の主治医――ほとんどのエージェントはここの仕事以外にも仕事を持っている――でもある。

「本人がそう言っているんだから心配ないよ~。歯磨きしよ~、涼」

 陸が目をこすりながら洗面台に向かうのを見て、そそくさとついていく涼。邪魔者はいなくなった。台所に戻り、朝飯の最終準備に入る。

「ちさ姉、起きて!・・・・・・ゐつも起きないと遅刻するぞ」

 飛び出してきた2人。ちさ姉はまだパジャマ姿だが、ゐつはちゃんと着替えている。

「さあ、食べるぞ。今日非番なんでしょ、ちさ姉。食器片付けてくんない?」

「いいわよ。そのくらいするわ」

「あ。隼、ケチャップ取ってー」

「お~い、ゐつちゃん。早く食べないと。隼はろくに食べね~からゆっくりしてるんだから」

「は、はひ(はい)・・・・・・先輩、これすっごくおいしいです!」

「お、そうか?よかったよかった。ごちそうさま」

「隼、薬飲めよー。――新しく入れた薬が効いてるのかな」

「・・・・・・おえぇ、いつもながらひどい味」

「ごちそうさまでした!」

「おそまつさま、ゐつ。早く歯磨きして。もう行くぞ。あぁ、歯磨きしたのに薬の味がまだする」

「嫌ならその虚弱体質をどうにかすることね。こら、涼、陸!ごはんにマヨネーズ、かけない!」

「先輩、準備できました。Let's go!です!」

「はいはい。それじゃ頼んだよ、片付け。いってきまぁす」

「みなさん、いってきまーす!」

「「「いってらっしゃーい」」」


 今日から新学期。僕は2年生になって後輩を迎える。その後輩がゐつ。クラス替えや担任など、楽しみなこともあれば、テストや退屈な話など、いやなこともある。それを全部ひっくるめて、僕はゐつと高校への道のりをわくわくしながら歩いた。

 これはちょっとした番外編です。・・・・・・いや、書きたくなったんですよ。このエージェントたちを。あと、これを書かないと隼がよく分からなくなるんで。

 見てくださる方。こんな小説を読んでいただいてありがとうございます!不束者ですが、これからもよろしくお願いします。

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