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原因と魔女狩り

「ウェンディさんはこの辺を調べろって」

 マップアプリのピンは大まかなものなので、恐らくは遺失物が発見された場所から頂上までの道のりの探索を求められている。

「見晴らし台まで行くわ。ここからは魔力の残滓を感じ取れないもの」

 あったとしても二週間が経過しているんだから無くなってしまっている。とにかく二週間前の足取りを追う形で探す以外にない。四人組はここから見晴らし台まで登り切り、そして下山した。来た道をそのまま引き返したに違いない。だったら登っている最中でなにかしら見つけることができるかもしれない。空間超越は外側からでは判別が困難だってことはルルルから聞いている。それでも私たちは見つけ出すしかない。この山において明らかに怪しい景色、怪しい場所、怪しい空間。木々の中で一本だけ理由もなく倒れているとか、草木が荒らされているのに獣道として機能していないとか、滑落跡が岩肌に残っているのに人や動物が下に落ちた形跡がないとか、そういうの。一つを見るだけならおかしな点はないけど複合して見てみると理屈的にちぐはぐになっている。『氷姫』の空間超越は空き教室の扉が壊されているのに中は机が理路整然と並べられていたからおかしいとルルルは気付いた。私やアミューゼのホムンクルスからの伝達があったからほぼ場所は割れていたのは確かだけど、きっとそんなのがなくても彼女は侵入できていたと思う。魔女とは、日常に隠されている非日常を紐解かなきゃならない。しかもその非日常はプラスではなくマイナスに働くものだ。だから目を養うんだ。魔力魂を見る『眼』ではなく、不自然さに気付ける目を。

「不運ですよね」

「え?」

「え、いや、だってせっかく四人で集まって来年の富士登山を目指してステップアップしていく最中でしたのに……どうして四人で集まったタイミングでーってなりません? だって大学を卒業したら社会人だったり……まぁ、色々あって定職に就けない場合もありますが、それでも滅多に集まることなんてできませんよ。SNSやトークのやり取りも少しずつ減って、気付いたら友情が自然消滅とか全然ありますから」

 なんだか経験したことがあるみたいな言い方をする。

「エリナって何歳?」

「今年で二十三ですけど」

「「え゛っ!」」

 その容姿で? その身長で? その慎ましやかな体型で?

「あのーえーっと、失礼な態度を今まで取ってしまって」

「わ、私はき、気付いていたけどね。と、年上には丁寧な対応をしろとは、そりゃ、そりゃぁ教育を受けていたけれど、やっぱりフランクさが大事だと思っただけなんだから」

 私は私らしくない謝り方をしているしセルバーチカは自分で自分の言っていることが分かってなさそうだ。ともかく態度の急変にエリナはとても困っているように見える。

「いやいやいやいや、それは別に気にしてないです。むしろ私はこの容姿ですから、沢山の方に迷惑を掛けてしまって。年齢より幼く見えることで様々なところでトラブルが。警察に補導されそうになったときは絶望でしたよね。成人式に行ったら警備員さんに止められることもありまして……」

 いわば合法ロ――駄目だ。そんな風に言ってしまうのは邪悪が過ぎる。

「自分のこの容姿や体型は先祖返りみたいなもので、正直、あんまり好きではないんです。同年代の人たちには羨ましがられますけど、いつまでも子供扱いも結構キツいです」

「先祖返り?」

「はい。トキダ家は先祖に八百(やお)比丘尼(びくに)を持つのではという話がありまして」

「や……なんですって?」

「人魚の肉を食べて八百年生きたとされる女性です。ずっと容姿が変わらないので気味悪がられて誰とも結ばれず出家したみたいな話があります」

「そうですそうです。よく死んだお祖父ちゃんが言っていました。トキダの一族は人魚の肉を食べて不老になった八百比丘尼の先祖に持つと」

 うーん、それはホラ話じゃないかな。

「先祖かどうかは分からないけど血の繋がりの可能性は否定できないわよ。だって現にエリナ……さんはこうして容姿に幼さを残しているわけだし。魔女の間ではそういった話はあって当然みたいな雰囲気があるわね。私も西洋で過ごしていたときに妖精やエルフ、ゴブリンにオークみたいなおとぎ話に出てくる種族の血を持つって話を何度か聞いたことがあるもの。日本では妖怪と契りを結んだって逸話はあったりするわけでしょ?」

「うん、それはあるけど」

 話している内容は私視点では説得力がある。

「八百比丘尼かはともかくとして不老長寿の妙薬を口にした一族であるかもしれないわね。エリナ……さんは病院で検査を受けたことは?」

 『さん』付けすることに戸惑いを未だ隠せてないことは触れないでおこう。

「ありますよ。特定の病気とは診断されませんでした。どの数値もあくまで正常なんですよ、この姿以外は」

 自分のコンプレックスを話すときだけエリナは饒舌だ。普通は話したくないからコンプレックスなのにな。でも話せる分、まだメンタルを病みにくいとも言える。言い出せないからと溜め込むとそれはそれでマズい。私もよく低気圧にテンション下がってコンディション終わるし。でもさっきまでの自信の無さとは真逆だから、魔女らしい歪みがあるとも言える。

「先祖返りなのだとすれば、かつての不老の遺伝子があなたの代で如実に表れた。でも成長に遺伝子が抗っているだけで決して不老不死ではない。そんな感じじゃない?」

「私も去年に比べれば0.4センチほど背が伸びていますし、決して成長しないわけではないのでその説を信じたいところです」

 思わぬところで思わぬ話題が出て、ちょっとだけエリナとの距離が近付いた気がした。こういう意外なところで話が盛り上がるのは楽しい。その人のルーツを探る系は実のところ嫌いじゃない。


 見晴らし台も間近というところで私はある物に目を止める。


「ねぇ」

 二人に声を掛け、足を止めさせる。

「あれなんだけど」

 指差し、確認を求める。

「……最近のことのように思うけど、もう結構な昔になってしまうのかしら。日本のネット界隈で一種のブームが起こったわね」

 セルバーチカは言いながら、それに近付いて触れはせずに視線だけで探りを入れる。

「オカルトブーム……もしくはホラーブーム? 作り話なのか本当の話なのか、疑いながらも妙に信憑性を感じるその書き込みにネットで盛り上がりがあったはず。中には悪ノリもあったのかもだけど、沢山のオカルトがそのときに同時多発的に発生したわ」

「知ってます。コトリバコとかきさらぎ駅、姦姦蛇螺、クネクネとかですよね」

「民間伝承、その地方だけに伝わる話、現代の中に潜む非現実。そのどれもが嘘っぽいよりでどこか説得力を感じるもの。ありもしないのにあるように感じ、無いとは言い切れないからあるように思う。けれど、オカルトは私たち魔女界隈では非現実的なものではなく現実的なもの」

「人魚伝説と同じです。ある人が有ると言った以上、ある人が有ると書き記した以上、その存在は確立してしまう。それを観測できるのは同じくオカルト側に寄り添える魔女、もしくはそれに連なる者」

「そして魔なる存在、でしょ?」

 二人の言葉の最後に足されるであろう言葉を私が足す。

「正直、ネットでのブームによって観測されるオカルトの数々はどれもこれも怪奇的で凶悪的ではあったけれど、魔女たちにしてみれば魔を相手にするよりはずっと対処が楽。歴史がないものは軽いから、大体は放置で勝手に消滅する。でも、そこに(ほこら)が関わると話が変わる」

「祠は(まつ)るもの。祠は神へ訴えるもの。祠は怒りを鎮めるもの。たとえ創作であっても祠を関わらせてしまうと始末が悪いのよ」


 そう言ってセルバーチカは目視だけでの祠の調査を終えて私たちの傍まで戻る。


「言い伝えの呪い、迷い込む、故意の侵入、見てしまう。そんなものは解呪、除霊、領域を再構築、破邪でどうにでもなります。それより一番危険なのは、祠を壊すこと。それは鎮めたものを起こすこと、神への訴えをやめてしまうこと、祀ることを否定してしまいます」

 ネットでは祠を壊すことは死の宣告にも等しいこととされている。定義されてしまうとオカルトは本当に人を殺す力を持ってしまう。そこに魔が乗っかってしまったら最悪の事態を招く。

「つまり、四人の内の誰かが祠を壊したってことでいい?」

 私は壊されたのち、形を戻されたが祠としての機能が失われていることを二人に確認する。

「そして誰か一人はオカルトを本気で信じていたのよ。にわかは本気で信じないから壊したぐらいでオカルトは反応しない。信じている人がいるから怪奇現象となって現れる。更に祠を壊したことで死ぬんじゃないかと思ったその感情に魔が共感したんでしょう、きっと」

 セルバーチカはスマホで写真を撮り、ウェンディに送信しつつ結論付けた。

「本気で信じて具現化してしまっても大した影響はほぼ無いんですよ。一人や二人が巻き込まれて死ぬだけですから。でも、魔が共感したことでオカルトではなくなり、一人や二人ではなく四人、果てには大量の死者を出す存在になってしまいました」

 四人組の仲が良いとか悪いとかの問題ではない。軽はずみな行動と悪ノリが混ざり合い、やってはいけないことをやってしまった。誰かがオカルトオタクだった。最悪なことに、そこに魔が潜んでいてオカルトオタクの感情に共感した。


「ウェンディさんが『ホムンクルスを呼んでいい』って」

 トークに送られてきた内容をセルバーチカが読み上げる。

「そもそもなんでホムンクルスに待機させてたんですかね」

 私たち全員が抱いている疑問を言語化してエリナが呟いた。ウェンディからの指令でホムンクルスは山の麓で待機させていた。その理由は一切不明で、セルバーチカでさえ理由を突き止めることができていなかった。


「特定の魔女狩りがホムンクルスに特効を持っている場合がある。a.k.a『人形寵愛師』は特に危険だ。使われていない山小屋に大量のぬいぐるみが打ち捨てられていたという情報が事前にあり、私はその魔女狩りが発生しているのではないかと疑っていた」

 一体どこからやって来たのか分からないが、ウェンディは私たちが登ってきた山道を同じように歩いて近付いてくる。

「だが、どうやら杞憂であったらしい」

 この人、試験で私たちに催眠を掛けた人で遠目でしかほとんど見てなかったけどスタイル良いな。間近で見ると女子力じゃなくて同性として負けている部分が多すぎて卑屈になる。これだったらエリナを見ている方がまだ心が穏やかになれる。やっぱ可愛い子への庇護欲は癒し効果がある。

「もしオカルトと同化していたら私たちでも手に負えないのでは?」

「心配には及ばんさ、ラスティー。ネットで生じたオカルトは口伝と戦うわけではない。祠を壊し、それを見た人物が記憶にあるオカルトを彷彿としてしまい、その感情に魔女狩りが共感した。これだけだ。なにも元となった妖怪や怪奇と直接対峙するわけではない」

 セルバーチカの質問にウェンディは全く声のトーンを変えず、一定の調子で答える。

 ちょっとだけ肩の荷が下りた。私は世の中で伝わっているオカルトのなにかと戦わなければならないのではと怖かった。

「マスター」

 ファルシュの声がして、彼の姿を視界に収めて私の中にあった妙な緊張感はゆっくりとほぐれていく。セルバーチカとエリナも自身のホムンクルスと再会して顔色が少しだけ良くなった。

「今回の一件に魔女狩りの痕跡有り。以後、調査から討伐へとシフトする」

「私たちはもうウェンディさんに任せるだけでは?」

「なにを言っている。貴様たちにはしっかりと魔女狩りの討伐にも参加してもらうぞ」

 質問したセルバーチカのみならずエリナも私もその返事に背筋が凍る。『氷姫』と相対したときのゾッとした感覚が全身を駆け巡った。

「まだマスターは魔女狩りに対抗できるほどに強くないぞ? 失敗すれば被害は四人どころではなくなるが」

「そこを協力関係で打破する。仕事とはそういうものだ」

 ファルシュに指摘されようともウェンディは発言を撤回しない。冗談ではなく本気なのだ。


 まさかこの人、試験の突破人数が思ったよりも多かったから私たちを不可抗力で死なせようとしている?


 物凄い妄想が物凄い発想に飛躍してしまう。でも、それぐらい私にとって『氷姫』との遭遇は絶望だった。もう死ぬんだと諦めていたし、対抗する術がなくなってなにもかもを投げ出して動けなくなってしまったあれをもう一度味わいたくはない。だからと言って、私自身が魔女狩りに敵うとも到底思えない。なのに戦わされるのは納得できないし、納得したくない。そもそも魔女狩りと共感できなければ私たちの魔法は通用しない。

「あんまりじゃないですか……?」

 さすがにエリナも不満を漏らしてしまう。

「常に誰かが代わりに戦ってくれるわけではない。サポートに徹している魔女はこれまでも沢山居たがそのほとんどが死に絶えている。どうしてか分かるか?」

 ウェンディはエリナに詰め寄り、冷たい視線を向ける。

「前に出て戦わない者に共感できないからだ。協力に共感は不可欠。サポート側が共感できてもその逆は難しい。よって、大半は協力した魔女の魔法によって死ぬ。そして魔女狩りも馬鹿ではない。自身を傷付ける者は確かに脅威だが、その脅威を高めている存在を決して無視はしない。人間と同じく弱いところから突いてくる。自己防衛もできない魔女はそこで死ぬ。怖いから戦わない、弱いから補助に徹したい。そんな生半可な気持ちでここにいるなら今すぐ魔女候補生をやめることだ」


 私たちの協力とはお互いの魔法が干渉しないように共感することだ。そのためにはコミュニケーションを積み重ねなければならない。でも、指令のままに集まっただけの魔女同士では対立すら生み出しかねない。なら『魔女の大釜』のシステムを見直すべきだと思うけど、分かってて変わってないのだからこれからも変わる可能性は低い。


「なら、私たち側が『魔女の大釜』のやり方に合わせろと? それは怠慢では?」

 全ての魔女に得意不得意があるのだから、その問題と向き合わずに無視し続けている『魔女の大釜』の体制が間違っている。なのに間違っている側に合わせるのは違う。それじゃ私まで間違ってしまう。

「ほう?」

 エリナにそうしたようにウェンディは私を刺すような視線で睨む。

「貴様に体制を罵るだけの実力があるのか?」

「有無じゃありません。怠慢だと私は申し上げているだけです」

「……そうだな、確かに『魔女の大釜』の怠慢だと言えるだろう。ああ、私もそう思う。しかし、体制批判は簡単ではあるが是正とは言葉以上に難しいものだ。だから貴様たちは私たちのやり方に拘るな。執着は魔女らしいが、不要なやり方に拘る意味はないのだからな」

 もっとバッサリと言われるかと思いきや、(おもんぱか)っているようなことを言う。極端から極端へと感情が揺れる。結局、この人は私たちに生き残ってほしいのか死んでほしいのかどっちなんだ?

与太話(よたばなし)は終わりだ」

 ウェンディは自身の刻印に触れてから祠に触れる。

「悪鬼羅刹を屠るとしよう」

 空間が間延びし、全体的に歪む。空は更に遥か遠くに、見晴らし台は遠く遠く彼方に。まだ正午に至る前のはずだが日差しは弱まり、辺りは薄暗くなる。

 私は自然とセルバーチカに付かず離れずの位置まで下がり、そんな私にエリナが密着する。三人で身を寄せ合って、どこから魔女狩りが現れるだろうかと戦々恐々としているとウェンディのスマホがヘヴィメタルの音色を奏でる。

『お師匠様』

 私たちに聞こえるようにウェンディがスピーカーに変える。

「魔女候補生たちにも聞こえるようにしたから変なことは言わないように」

『変なことってなんですか? 変なことを言うのはいつもお師匠様でしょうに』

「それで? 残った三人の遺失物にあったスマホの解析は進んだか?」

『ええ、はい。そのことで電話したんです。お師匠様、今どこにおられますか?』

 ガサガサと木々を揺らす音が耳に入る。

『まさか魔女狩りが生み出した空間超越に入った、などとは仰いませんよね?』

「そのまさかだが」

 ウェンディも音に気付いて体を音がした方向へと動かす。

『だとしたら今すぐその空間超越から脱出してください』

「なぜだ?」

 彼女は表情を崩さずに答えを待つ。

『三つのスマホに残されていた写真とトークの履歴からこの魔女狩りはお師匠様一人では手に負えない存在であると断定します』

「だからなぜだ?」


『一人がオカルトに傾倒していたわけではありません。三人が、オカルトに傾倒していたのです。つまり最初の一人こそが被害者であり、三人が加害者なのです』

「ほう? 分析の中でエリナ・トキダが推理した人間関係が当たらずとも遠からずというわけか」


『まさか私がイジメや仲間外れごときの内容でお師匠様に電話するとでも?』

 そこで一旦、ウェンディの弟子は息を整える。

『カニバリズムと言えばお分かりですね? 三人が一人を喰っています。その三人の感情に共感した魔女狩りは、もはや境界を恐れぬ人食い鬼です』

「弟子よ。魔女狩りをa.k.a『境界鬼』と断定。『魔女の大釜』より魔女の支援を求めると伝えろ」

『命は捨てないでくださいよ、お師匠様。私はまだあなたから教わりたいことが山ほどあり、あなたを殺せてはいないのですから』

 通話をウェンディから切って、木々の間から姿を現した大鬼を前にして彼女はふぅっと息を吐く。私たちは大鬼――魔女狩りの風貌に怯えながらも目で合図を送りつつ少し離れて、いつでも刻印に触れられるように構える。

 大鬼――頭に角を三本持ち、口元には巨大な牙、そしてそこから垂れている涎には大量の血が混じっている。なんなら口から肉片が零れ落ちており、それらは全て胸元でなんとも気分の悪い異臭を放つ。血が固まったときのような暗い赤色の肌――いや、肌なのだろうか。全身が血で塗れていて本当の色が見えていないだけなのかもしれない。人間を超える体躯で、なぜか人間が着ているような服を着ていた痕跡があるものの、それらは体躯に見合わないがゆえに千切れ、破れ、布切れだけが僅かに残るだけだ。下半身も陰部は隠れているものの、それ以外はほぼなにも着ていないのと同等。むしろどうして陰部だけ守られているのかが不思議でならない。どうせそこには淫魔と違ってなんにも無いはずなのに。

「人間が人間を喰った。人間が人間じゃなくなった。だが共感した三人が人間らしさに執着していたがために魔女狩りもまた人間らしさを求めた。人間らしく振る舞おうと試みたがそのどれもが意味を成していない。意味がないのに意味を求めて意味が分からない状態になっている」

 だが、とウェンディは続ける。

「共感したのはカニバリズムだ。人間で居続けたいことではない。即ち、分かるな?」

「私たちを喰うことしか考えてないってことでしょ! どうしてそんなに冷静でいられるんですか!」

 セルバーチカは若干、敬語を崩しかけながら叫びつつ刻印に触れる。

「カシュー! 援護して!」

 その要請に彼女のホムンクルス――無口な黒服の男が果敢にも魔女狩りへと攻めかかる。

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