動き出す運命
その後制圧した補給基地をライデル隊に託し、フェリクス達第十四独立機動隊は次なる戦場へと向かう。
――
N.G.197年 七月。
リオを隊に加えて二ヶ月余りが過ぎていた。
フェリクス達第十四独立機動隊は最前線基地のある荒廃した街で暫しの休息を取っていた。
「ふぅ……まだ実戦レベルでは使えないか」
ライデルからもたらされたクリスタルを前にフェリクスは深いため息をつく。
バトルスーツにクリスタルを内蔵したのだが、思うような結果には結びつかずにいた。
「珍しく苦戦されてますね」
ヴェルザードが声をかけると、フェリクスは笑みを浮かべて小さく頭を振った。
「技術開発なんてそんなもんさ。そんな簡単に新兵器が開発出来るんなら、今頃過去にも未来にも行けてるだろう」
そう言って笑うフェリクスに、ヴェルザードも「確かに」と言って笑みを浮かべていた。
「少佐、本部から連絡です。我々はラングレーに移動せよとの事です」
「ラングレー?何故だ?」
「セントラルボーデン軍によるラングレー奪還作戦が近く行われるのでは?という情報があるようです」
「なるほどな。ラングレーは重要な拠点だからな。まぁ久しぶりに大都市に行けるんだ、あいつらも喜ぶんじゃないか?」
そう言ってフェリクスが窓の外を見つめる。
外ではリオやジェーンが座り手持ち無沙汰にしており、少々暇を持て余してるようにも思えた。
「あいつら……ここは前線地だというのに、緩めすぎです」
外を見つめ、苦言を呈するヴェルザードだったが、フェリクスは立ち上がり彼の肩を軽く叩く。
「まぁそう言うなよ。ここまで緊張の連続だった。少しは気を緩める時間も必要だろ」
「しかし、その気の緩みが惨事を引き起こす事にも繋がります」
「まぁ、確かにな。とりあえず全員集めろ。次の作戦を伝える」
「はい、了解しました」
部屋を出て行くヴェルザードを見つめ、フェリクスは一人残された部屋でため息をついた。
「いつまで続くんだろうなこんな生活」
人知れず呟いた独り言は静かに消える。
――
「――ではそういう事で我々は明日、ラングレーに向けて出発する。全員準備を怠るなよ」
フェリクスから隊全員に移動が伝えられると、数人の顔からは笑みがこぼれ、喜ぶ声も聞こえた。
「なぁエルザ。ラングレーって言ったらあたいでも知ってる大都市だけど、そこってそんな重要な拠点なのか?」
リオが隣にいたエルザに問いかけると、エルザは小さく頷いて笑みを浮かべる。
「ええ。ラングレーには大規模な水力発電所があるの。そこから各地に電力を送ってるのよ。もし奪われたら、地方の拠点は電力不足で機能停止に陥るわ」
「なるほどな。まぁ電力不足になったら雷系のウィザードに頼めばいいんじゃね?なぁブレイド」
「俺達を発電機みたいに言うな」
リオが冗談めかして言うと、ウィザードのブレイドが笑いながら返し、エルザ達も笑っていた。
その光景をフェリクスは笑みを浮かべて見つめていた。
――
翌日。
早朝からラングレーに向けて出発したフェリクス達だったが、その日のうちにラングレーまで到着出来ず、荒野でキャンプを張りながら一夜を明かす事にしていた。
「上手く行けば到着出来るかと思っていたが、そう上手くは行かないか」
フェリクスが岩場に腰掛け、煙草を咥えながら呟くと横にいたリオが首を傾げて問いかける。
「あたいのせいかな?」
少し茶目っ気のある言い方にフェリクスは思わず笑みを浮かべた。
「そんな訳ないだろ。お前が鷹の目で敵を見つけてくれたから無駄な戦闘が避けられたんだからな」
そう言ってフェリクスは笑う。
ラングレーにまっすぐ向かっていたフェリクス達だったが、途中リオが鷹の目を使い敵部隊を発見した為、大きく迂回する事になったのだ。
「お前のおかげで助かってるよ実際」
「へへ、だったら特別報酬で一本おくれよ」
リオが照れくさそうな笑みを浮かべて、フェリクスの煙草を指さす。
フェリクスが笑みを浮かべて煙草を差し出すとリオは煙草を咥え火をつけた。
二人紫煙をくゆらせ、ゆっくりとふけていく夜を過ごしていた。




