表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/68

共闘


 リオと並び立ったフェリクスは、周囲を囲む兵の数をざっと目に入れる。

 

 セントラルボーデンの兵が六、ゲリラが十……まだ潜んでいる気配もある。正面突破は分が悪い。ならば――。


 フェリクスはさりげなくリオのそばへとにじり寄り、声を落とした。

 

「リオ。一旦後方に下がる。俺が動く間、敵の様子を見て伝えてくれ」


 怪訝な目で睨むリオ。

 

「……回りくどいな。サポートって、要するに何やりゃいいんだよ」


「見たままを伝えてくれ。それで十分だ」

 

 言い捨てると同時に、フェリクスは音もなく茂みに身を投げ、リオもそれに続いた。


 敵兵たちはフェリクス達の動きを見て嘲笑を漏らす。

 

「逃げやがったか?」

「手柄を譲ってくれるらしい!」


 先頭の一人が嘲り笑い追いすがった瞬間、草陰から閃光が走り、喉を裂かれた。悲鳴すらあげられず地面に沈む。

 続けざまにもう一人。慌てる敵兵達だったがフェリクスは深追いせず、再び闇に姿を消した。


「ヒットアンドアウェイ、か……やるね、隊長さん」

 

 リオが小さく吐き捨てるように言うと、無線越しに鼻で笑う声が返ってくる。


「敵が舐めてるうちは稼げる。落ち着かれたら厄介だがな」


 言った矢先に、ドレフォンが怒声を張り上げる。

 

「慌てるな!いつも俺達がやってるただのゲリラ戦法だ、背中を合わせろ!」

 

 兵たちは円を組み、互いの隙を消した。森に静寂が戻り、張り詰めた空気が漂う。


「……嫌な感じだな。もう隙はねぇぞ」

 

 リオの低い声。


「構わん。お前は隠れて索敵を続けろ。俺はリオを信じる事にする」


 その一言に、リオの胸が微かにざわつく。

 

 (信じる?まだ会って間もないあたいを?)


 答えを出す前に、フェリクスは飛び出していた。銃声が静寂を裂き。火花と氷片が弾ける。

 だが弾丸を剣で弾き、空気を切り裂く程の速さで懐に踏み込むと、ゲリラの首が赤い弧を描いて飛んだ。

 続けざまに別の兵の胴を横薙ぎに裂く。倒れ伏すゲリラ達を踏み越え、さらに刃が閃く。


 その瞬間、無線から怒声が響いた。

 

「跳べ、少佐! 後ろだ!」


 反射で身を翻す。直後、氷の礫と銃弾が降り注ぎ、フェリクスのいた場所を穴だらけにした。

 そこにいた敵兵は逃げ遅れ、無惨な姿で倒れ込む。


「……危なかった。さすがだな、リオ」


 肩で息をつき、フェリクスが無線越しにリオに語りかける。

 

「無茶しやがって。いつから気付いてた?あたいが鷹の目(ビジョンズ)を使える事に」


「確信はなかった。だが今朝の洞窟ではマシューと連絡が取れてない割には潜伏する敵を正確にとらえていた。だからリオも鷹の目(ビジョンズ)が使えるんじゃないかってな」


「はぁ!?もし使えなかったらどうすんだよ!」

 

 怒鳴るリオに、フェリクスは笑い声を返すだけ。


「その時は……俺の見る目が無かったってことだな」


 呆れと苛立ちがないまぜになりながらも、リオは息をつき、無線に声を落とした。

 

「残りは九。あそこに立って偉そうにしてる馬鹿二人も含めてだ」


「さすが助かる」

 

 フェリクスは淡々と応じ、大剣を握り直した。


 数の差は依然として歴然だった。

 だが不思議と、絶望感は感じない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ