ビター・テイスト
加筆修正いたしました!
「すみません、ブラックコーヒーと苺のショートケーキを4つください!」
「苺のショートケーキはお持ち帰りですか?」
「いえ、4つとも全部ここで食べます・・・。」
女性店員の笑顔が一瞬引く。
玉山烈人は自宅近くのコーヒーショップにいる。彼のテーブルにはイチゴのショートケーキが4つとブラックコーヒーがある。
玉山は今しがた些細なことが原因で彼女のあゆみさんと喧嘩をした。スマホでキレられて、別れるとまで言われてしまった。
彼女とは飲み会で知り合い、お互いスポーツが、特に野球が好きですぐに意気投合した。2人でスタジアムにもよく行った。
小柄だけれどボブヘアーがよく似合い、明るくておしゃべりがとても好きな
自分には不釣り合いなくらいな良い彼女だった。
そのまま部屋にいては頭の中でネガティブな感情がループするため、部屋を出てコーヒーを飲みに来た。
玉山はいまプチやけ食いをしている。< プチ >である。
ショートケーキ3つではやけ食いにならないし、5つはさすがに食べきれない。そこで4つという半端な数のショートケーキを注文した。
とても半端な4つ。
4つのケーキをドカ食いしたら案の定、口の中は甘ったるくなった。普段飲まないブラックコーヒーで流し込む。格好をつけてブラックなんて頼んだが、やはりものすごく苦い。
テーブルの端に置かれた恋みくじの機械を見つける。
「・・・・・。新しい恋を探してみようか?あゆみの奴、どうするかな?」
そんなことを考えて100円を投下してレバーを回してみた。
ガチャガチャ、ガラガラ!
かたい音とともにおみくじが、すごく雑に出てきた。
「恋みくじ
大凶
貴方の恋愛の運勢は停滞しているでしょう。新しい出会いはしばらくありません。趣味や仕事に打ち込みましょう。
ラッキーアイテムは、特になし。」
なんだよこれは!(><)
こんなものを入れておくな!ラッキーアイテムが特になしってどういうことなんだよ?一人で恋みくじにツッコミを入れる玉山。
いい大人がいったい何をしているんだろう?
ばかばかしくなって店を出た。
途端にポツポツと雨が落ちてきた。ここへきて雨まで降ってくるのか。
店を出たとたんに雨が落ちてきたが、また店に入るわけにもいかずしかたなく歩く。
あゆみに振られても全然ショックなんかじゃない!
きっとこれからもっといい人が現れるだろう
あゆみからは学びを終えたんだ
なんくるないさー
よく言われるポジティブワードを自分に投げかけてみる。何にも心に響いてこなかった。
走るのもだるいし、濡れて帰ろう。
自宅に帰り熱いシャワーを浴びて部屋着に着替え、冷蔵庫から缶ビールを取り出しテレビの野球中継をつける。画面の中の試合をただぼーっと眺めてみる。
缶ビールをぐいっと飲む。
ビールの苦み、失恋の苦み、スタジアムデートの思い出。
あああ、苦い。苦いなあ・・・・。これは失恋の味なのか?
口の中の苦みはビールの苦みなのか失恋の苦みなのかよくわからなかった。
そこへソファの上のスマホが鳴る。手に取ってみた玉山。
メールにあゆみからの履歴が残っていた。
「さっきはごめんなさいです。言い過ぎた。」
玉山はすぐにあゆみに電話を掛けた。
失恋という感情を苦みと笑いを含んだ構成で描きました。最初のお話はビターすぎたため、加筆修正を加えました。楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
高評価やリアクションなどで応援よろしくお願いします!ここまでありがとうございました。