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月の器

作者: 檸檬

月の器にチリンチリン


星をひとつくださいと


三日月のお椀をわたしは手に持って


砂漠の真ん中をグルグルと


誰も乗らないメリーゴーランドに乗ってゆく


月の器にチリンチリン


星をひとつくださいな


三日月のお椀は手に沿ってゆっくりと

様々な風の感情の流れを纏いながら


小さく靡く、大きく揺れる


その中の小さな一雫


注意深く拒み続けるのは


人間らしいあなたではなくて


いつの間にか違う形にはめ込もうとする

増大膨張してしまう力、


わたしの心の中、


誰にもわからない


あなたの秘密だって知らない


誰にも奪えないものよ


秘密のないひとなんてきっといない


あなたを暴こうとか奪おうとかそんな気持は


さらさらないの


サラサラ ユラユラ 何処までも


あなたとささやかに心を込めて


歌を唄っていたいの


最初に渡したふたりの部屋の鍵は


星屑になったから訪ねた教会に


神への告白を司祭が覗き見する部屋


だからわたしは空の下に駆け出して


大樹様に告白するの


権利の乱用が溢れてる、


でもそんなもの


月の器にはこぼれてゆく砂でしかない


月の器にチリンチリン


星をひとつくださいと


お椀型の三日月をわたしは手に持って


砂漠の真ん中をグルグルと


誰も乗らないメリーゴーランドに乗ってゆく


あなたの顔が映るから寂しくないわ


全ての空に


カラカラの心に


あなたの一欠片一雫が


キラキラと螺旋を描く


チリンチリンと落ちてゆく


求めなければ 満ちてくる


チリンチリン


夜が明けてわたしの庭先に朝焼けが咲く


その花があなたのようだから


伝わって、揺らいで


わたしの目から自然に溢れた涙は確かに在るから


メリーゴーランド、めいいっぱい


手を振っているわ


チリンチリン


三日月の風鈴


チリンチリン


御坊さんが鳴らす鈴


チリンチリン


鈴の音はずっとずっと鳴っている


チリンチリン


メリーゴーランドから手を振っているわ


チリンチリン


もう一度空をみてよね、


愛しいひとって


大樹に抱きついて


手を振っているわ



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