プロローグ
まさか、あんなことで転生するとは思ってなかった......
俺の名前は、佐藤亮太。どこにでもいる18歳の専門学生だ。
そんな俺はというと、学校から帰ってくると部屋に引きこもりゲーム三昧、休日も自宅からは出ずにゲームを謳歌する、いわゆる、”ゲーム廃人”や”ゲームオタク”と現代で問題視されている世の中の厄介者である。
今日は、土曜日だがいつものようにゲーム三昧とはいかない。
なぜなら、今日は家にクラスで唯一俺に話しかけてくれる天使、紅朱莉さんが数時間後には遊びにやってくるからである。なにせ、俺は生まれてこの方女性経験なんてもってのほか、異性とのスキンシップは二歳年上の姉と実家の隣に住んでいた幼馴染ぐらいとしか経験がないのである。
つまり、今日はこんな俺に春がやってくるかもしれない人生最大のイベント発生の日なのである。
そんな俺が今日はゲームをせずに何をするかというと、そう、家の清掃という名の戦だ。
世の一人暮らしをしている人なら経験は少なからずあるのではないだろうか?
一人暮らしを始めて、自由奔放な生活に怠けて住み始めた当初はまるで建築ほやほやの新居のような輝きを誇っていた自室が、数か月後にはごみのモンスターが巣食うダンジョン(ただの汚部屋)へと進化していたことが。
そして俺は、この人生の特異点ともなりうるイベントを前にして決意したのである。
この踏破難易度Sのダンジョンをクリアすることを。
そうして、自室の清掃をしていた時のことだった。
まとめた、私物を段ボール箱にまとめて運んでいた時のこと。
そのとき、私物を詰めた箱は両手で胸の前で抱えるように持っていた。
当然、下が見えないため足元の注意がおろそかになる。
何が起こるかは、だいたい予想できるのではないだろうか。
そう、足の小指をタンスの角にジャストミートしたのである。
その痛みに耐えきれず、倒れこんだ俺は持っていた私物の箱を空中へと放り投げた。
すると、頭に私物が直撃したのである。
そして意識が遠のいていき、視界に移る自室の天井がだんだん真っ白になっていき、俺は意識を手放した。
気が付いたら、ラノベや異世界転生モノでありがちな真っ白な空間に俺は突っ立っていた。
いや、本当は突っ立っていたというより、浮いている感覚に近い。なぜなら、俺の身体がいくら見回しても無いのである。
言うなれば、魂だけで浮いてるようn…
「ふぉっふぉっふぉ。その通りじゃよ。」
唐突に頭の中に、多分神様であろうおじいちゃんの声が流れ込んできた。
「当たり前のように心読めるんだな」
「そりゃあそうじゃろ。わし神様じゃよ?」
やっぱり。てか神様がいて俺が魂だけで浮いてるこの空間、シチュエーションってもしかして......
「下界でいう、神様からちーと?とかいうのもらって別の世界に生まれ変わるあれじゃよ。」
ですよねー!!!!キター!!!!!!正直、飛び跳ねるほどうれしい。
産んでくれた両親には悪いけど、死んでよかったと心の底から思っちゃう。
「まあ普通なら、死んだ魂をここに呼ぶことなどしないんじゃがな、そなたの死に方はあまりにもみじめでかわいそうじゃったからのう。」
「う、一番見られてほしくなかったとこ見られてやがる。」
「さて、そなたの第二の人生について話し合おうかの。」
今作が初投稿になります。至らない部分があると思いますが、温かい目で読んでいただけたら嬉しいです!