深紅の魔法陣
だが、不思議と町では騒ぎにもなっていなかった。
「レオン、大丈夫か?」
「ああ、なんだったんだろうな」
「おい、左手が血だらけだぞ」
「ああ、本当だ。気がつかなかった」
よく見るとレオンの左手には、深紅の魔法陣が、刻み込まれていた。
「すごく痛いよ」
「ああ、待ってろ今治してやるから」
俺は、そういって治療の魔法を唱えた。傷は、みるみる回復してくが、なぜか魔法陣だけは消えることはなかった。
「ごめん、レオン、傷が残っちまったな」
「いや、ありがとう。このくらいしょうがないよ」
俺は、何か気になって。一応その魔法陣を「解析」して記憶しておくとにした。
レオンは、この出来事がショックでしばらく家にこもりっぱなしになっていた。俺は、責任を感じて毎日レオンの家に通ったが、会えたのは1ヶ月も後のことだった。
「レオン、悪かったな」
「いや、ハーベルのせいじゃないよ」
「いや、俺が無理矢理ダンジョンへ連れていったから···」
「怖い思いもしたけど、もう落ち着いたから心配しないで」
「でも···」
それからは、レオンも学院へも来るようになり俺は少し気が楽になった。
ただ、自分の無力さには後悔しかなかった。
あれからレオンの様子が少しおかしいことには気づいていた。
でも、具体的に何がおかしいかは分からなかった。