悪魔降臨
ダンジョンの奥へ行くと、なにやら灯りが見えて、声が聞こえてきた。
「なんだろう?詠唱?」
影から覗いてみると大きな魔方陣が描かれていて、十数人の大人が何かの儀式を行っているようだった。
「ねえ、もう帰ろうよ!」
「もう少し···」
「僕イヤだよ、先に帰るからね!」
「だから、もう少し待ってよ」
「うっ···」
急に目前が真っ暗になった。
気が付くと魔方陣の部屋の角に縛られて二人とも座らされていた。
儀式を見るのに夢中で後ろから殴られるまで気付かなかった。
儀式はそのまま続けられていて、大人たちは詠唱を続けていた。
レオンは、気を失っているようでぐったりしてる。
俺は、「解析」のスキルで儀式の正体を確認してみた。どうも、召喚魔法のようで、すごく嫌な感じのする魔法だ。
周りが急に暗くなったと思うと、目に見えるほどの濃い魔素が立ち込めて、薄暗くなった魔法陣の中央辺りから鬼のような角を持った魔物がせりあがって来た。
「悪魔召喚?」
「これはマズイ!」
「レオン、起きろ!」
「うっ···朝か?」
「寝ぼけてる場合じゃないぞ」
「早く逃げないと殺される!」
目の前では召喚された悪魔が信者たちを殺しまくっている。
俺は、魔法で縄を焼ききるとレオンの身体を引き上げた。
「こっちだ」
「あいつらが襲われている隙に」
血だらけになりながら、命からがら逃げ帰ってきた。