ハーベルの秘密
「そう言えば、前から気になっていたんだけど、ハーベルって何で魔力量がそんなに多いの?」
「ああ、みんな魔法使うときどうする?」
「そりゃ、呪文を唱えるでしょ!」
「そうだね、じゃあ呪文無しでも魔法は使えると思う?」
「う~ん、高位の魔法使いとかじゃないと無理なんじゃないの?」
「そう思っているよね」
「えっ、違うの?」
「実は、それが思い込みなんだ」
実際に無詠唱で魔法を見せた。
「ほらね、簡単だろ」
「いや、簡単じゃないだろ」
「それと魔力量と関係あるのか?」
「うん、順番に説明するよ」
「魔力量は、自然に増えていくものだと思っていると思うけど、実は詠唱せずに魔法を使用すると少しずつ魔力量が増えていくんだ」
「そんな馬鹿な!」
「実際数年前から、俺は常に無詠唱で身体の周りに魔法防御をかけ続けているんだ」
「その結果魔力量が増えているってことか···」
「にわかには信じられないが、ハーベルをみていると嘘とも言いきれないか」
「そもそも、無詠唱で魔法が使えないと意味ないんじゃないの?」
「確かに!」
「簡単さ、アクシア、そこのコップに水を出してみて」
「ウォーター」
「普通は、そうするよね」
「じゃあ、今度は空のコップの中に水があるものと思って、その絵を頭の中に浮かべてみて!」
「頭に思い浮かべるのね···」
「その状態で、声に出さずにウォーターと言ったつもりになってみて」
「ああ、水が入ってる!」
「それが、イメージなんだ!」
「イメージ?」
「それができるようになれば、簡単に無詠唱で魔法が使える」
「ただ、この世界の人はイメージがしにくいようなので慣れは必要かもしれない」
「でも、ハーベル普段詠唱しているよね?」
「そうだね、よく考えてみて。高位の魔法使いでもない奴がホイホイ無詠唱で魔法使っていたら、みんなどう思う?」
「なるほど、敬遠されるな···」
「だろ、だから魔力量は上げるために努力しているけど、普段はなるべく普通にしているんだよ」
「なるほど」
「だから、この事はみんなだから話したけど、口外しないで欲しいんだ」
「分かった」
「でも、私もいろいろ試してみよ」
「そうだな、魔力量が増えればできることも増えるしな」
「あとは、師匠の受け売りだけど、普段から魔力使用量を抑えるためになるべく魔道具を使用したり、魔法を使わなくてもできることは自分でやるようにすると、いざというときに魔力不足にならずに済むってね」
「そっか、よく考えてるんだね」
「確かに、生活しているうちに無駄に魔力を消費してる割には、魔力量が増えるわけでもないしな!」
「いや~勉強になった」
「ちょっと、考えさせられるわね」
「そんなこと考えたこともなかったわね」
「これで少しでもみんなが強くなれるならよかった」
「ハーベル、さっきこの世界の人って言ったけど、ハーベルは、この世界の人じゃないの?」
「これは、信じてもらえないかも知れないけど、俺は別の世界で死んだときに、この世界へ転生してきたんだ」
「転生者?」
「私、聞いたことがある。おばあちゃんが前によその世界からきた旅の人がいて、面白い話をたくさんしてくれたって」
「じゃあ、他にもそういう人がいるんだ···」
「でも、12歳からずっと暮らしているからこの世界にもすっかり慣れてしまったよ」
「さっきは、もっともらしいことを言ったけど、すっかり魔法やアイテムに慣れて修行を怠っていたことを反省しているとこだったんだ」
「ハーベルは意外と真面目ね」
「ハハハ」
「ちゃかすなよ」
「いろいろ聞かせてくれてありがとうね」
打ち明けてからみんなの気持ちがひとつになったように、パーティーがうまく機能し始めた。
次回 【試練の行方】




