異世界の朝
「あれ、生きてる?」
目覚めた俺は見知らぬ家にいた。
いわゆる、異世界転生ってやつか···
「ははっ···」
「ハーベル、起きなさい」
優しい声で起こされた。
もとの世界では、親が病院を経営していてそこそこ裕福な家庭でなに不自由なく育てられた。
「ハーベル、起きなさい!遅刻するわよ。」
こちらの世界のお母さんのようだ。
なんとなくこの世界の記憶も残っているが、もとの世界の記憶は完全に覚えている。
「今日から学院でしょ」
「早く準備して行かないと。アンナが迎えに来ているわよ」
俺には、幼なじみがいるようで、名前をアンナと言うらしい。
どうも今日は入学式で、もとの世界でいう中学校にあたる「魔法学院中等部」へ入ることになっているようだ。
俺は、よくわからないままアンナと両親に連れられて学院へ行った。
こちらの両親は、医術士と呼ばれる仕事をしていて、何の因果かまた医者の家に生まれてきたらしい。
もちろん、もとの世界の医者とは全く違って魔法により治療を行う。
始めにも言ったように、魔法には属性が存在するが、血統によって得意とするものが変わってくるようだ、うちの家系では、光属性の魔法を得意としている。回復魔法や治癒魔法などがそれにあたるらしい。
この世界では、魔力量は年齢と共に増えて行き、年を重ねても減ることはない。では、大魔導士と呼ばれるような者の魔力量はどのようにして増やしているのか?
魔法の詠唱は、通常声に出さなければ発動しない。だが、魔法に精通してくると簡単なものであれば無詠唱もしくは詠唱破棄といって、声に出さなくても魔法を発動することができるらしい。ここで疑問が生じる。
「なぜ詠唱が必要なのか?」
こちらの世界には、「イメージ」という概念がない。
あまりに普通に魔法が使えてしまうため、魔法をイメージするのではなく呪文を詠唱するという作業を行うことによって発動しているのだ。
ただ、本質は違っていて「魔法は、イメージそのもの」なのである。
この世界では、それに気付くことができないのだ。大魔導士でさえ、長年の経験によってそれを無意識のうちに行っているにすぎない。