俺を除いては!
ところで、先程の続きであるが、魔道具とは、魔晶石と呼ばれる魔素を多く放出できる宝石のようなものや魔獣の牙や骨などを利用して作られた指輪やネックレスなどの装飾品のことを言う。主には杖のように加工されたものがよく利用されている。
魔晶石にもピンからキリまであり魔素を多く放出できるものほど高値で取引されている。
その中でも魔晶石そのものが魔力を宿しているものを精霊石と呼び各属性にそれぞれ1つしか存在しないと考えられている、この精霊石は「ソーサリーエレメンツ」と呼ばれていた。
ソーサリーエレメントを手にした者は、強大な力を手にすることとなりこの世界を制服することも可能となるのだった。
最後に、詠唱についてだがこれが実に興味深い。この世界の者であれば誰でも詠唱によって魔法を使うことができる。
もちろん、同じ呪文を唱えた場合でも熟練度によって魔法の威力は大きく変わる。だが、逆に言えば呪文さえ詠唱できれば子供でも魔法を行使することができるのだ。
ただし、魔法を使うためには魔力が必要となるため大人と子供では、魔力量の違いにより自ずと行使できる魔法が限られてくると考えられている。
しかし、実はこれは間違いでこの世界の人たちはその真実にまだ気づいてはいなかった。
「俺を除いては!」
俺は、ハーベル。年齢は12歳らしい。
もとの世界では、医学部に通う医者の卵だった。インターンも終えもうすぐ医者として華々しい未来が待っているはずだったのに···
ある日、夜勤を終えてクタクタになって帰る途中、足元を黒い猫が横切ったその瞬間足がもつれて車道へよろめいてしまった。そこへ運悪く暴走してきたトラックに跳ねられてあっけなく死んでしまった。と思ったが···