おしょくじけん
おしょくじけん。
テレビでは、むずかしいニュースをやっていた。わるいことをする、わるいやつらがいるのだけれど。こちらからあちらへ、あちらからこちらへ、やじるしがのびてるのだけれど、よくわからないままおわってしまう。となりでゲームをやっている、にいちゃんにきいてみる。
「おしょくじけんって、わるいの?」
にいちゃんは、としうえだからものしりだ。おしょくじけんか、よくないな。といって、わかりやすくはなしてくれた。
「ちょっと前にあったよな。コロナの時とか」
オレはちいさかったし、わからない。
「家にも配られてきてたんだ。10枚つづりで1万円分」
いちまんえん。それはたいきんだ。うまいぼうは12えんだから、どれくらい。たくさんかえる。
「それが買えないんだな、残念だけど。飲食店やウーバーなら使えるけど」
けちだなぁ。
「ケチだね、まったく。それにもらえるといっても、元々は僕らの税金からのお金だしね」
じぶんたちがはらったおかねが、もどってくるってこと。
「その通り。だったら取らなきゃいいって話。取っていって、いくらか返して。やってることが無駄なんだ。それなら減税しろよってなるよ」
そうだー、げんぜいだー。
「それに、絶対途中で経費かなんかで、誰かがお金を抜き取っていく仕組みなんだ」
ぬきとるって、トランプでにいちゃんがずるするやつ。ゲームもとられた。
「それはテクニックさ。バレなきゃいいのさ、って」
でも、ずるはずるだ。いんちきだー。
「ま、今後はしないでおくよ、ホント。とにかく、おいしい思いをする人たちが出てくるから、お食事券は良くないのさ」
でも、おいしいなら、またあるよね。
「そうだな。そういう人たちは、またやってくれって市とか国とかに裏から頼むんだろうなぁ」
にいちゃんはうでをくんだ。オレはくちをとがらせた。
「許せんよなぁ」
そうだ、ゆるせない!
ふたりしてたちあがった。おーっ!
おしょくじけんはゆるさない。