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シークレットサバイバー  作者: ツキグマ
第1部
3/7

3.危機

リアルが忙しい…

両立って難しいですね…

投稿頻度低くなるかも知れないです…

「何…あれ…。っ…!?」



一歩前に踏み出した花の腕を掴み、颯は強引に引き戻す。



「颯…?」



花が颯を見ると、颯は無言の状態で空に浮かぶ、悪魔としか言えない生物を凝視していた。



「悪魔…」


「悪魔って…あれって架空の生き物じゃないの…!?」



不意に尚也の呟く言葉に愛奈が間髪入れずに答える。



「とりあえずしばらくここで様子を見よう。あんなのに見つかったら何されるかわからないからな」


「いや、止めた方がいいよ」


「え?」



恒一が引き返そうとした瞬間、和輝が待ったをかけた。



「今さっき、窓越しにチラッと悪魔が見えた。こっちに向かって来てる」


「は!?じゃあ俺ら挟み撃ちじゃん!?」


和輝の報告に対し、治翔が焦り始める。現在地は下駄箱から外に通じるドアの前で、基本生徒は下駄箱から右へ行けば、1、2年生の教室がある廊下に繋がっており、左へ行けば、3年生の教室がある廊下に繋がっている。しかし、1、2年生方面の廊下は瓦礫で塞がっており、通り抜けることはできず、颯達が歩いてきた3年生方面からは悪魔がこちらへ向かって来ている。外へ出ようにも、上空にいる悪魔に見つかれば終わり。状況は絶望的。その時だった。



「ん?」



花の視界に光る何かが映った。



「颯…、あれ」


「ん?」



花は近くの颯に声をかけ指差し、颯も花の指差す方を見る。そこには、車の近くでびくともしない教員が手に鍵を持って倒れていた。状況を見るに車で逃げようとしたが、後少しのところで事切れたのだろう。それを見た颯はひとつの策を思いつく。



「賭けになるけど、車で逃げよう。それしかない…」


「…僕もそれがいいと思う。あんまり考えてる時間もないし…」



少しの沈黙を経て和輝が賛成の意見を述べる。



「オッケー。じゃあ、ゆっくり乗ろう。で、肝心の車は?」


「大丈夫!開いてる!」



花は近くの車に手を掛け、ドアを開く。どうやらロックは倒れている教員がすでに開けていたのだろう。恒一の疑問はすぐに解消された。



「すみません。借ります」



そういい、花は教員から鍵を取る。

膝くらいの高さのある花壇に身を潜め、全員が車に近寄る。上空の悪魔は颯達に気づいていないのか、別の方向を見たまま動く気配はない。颯と和輝は後部座席に気絶した結芽と悠祐を乗せ、足に怪我を負った花も後部座席に乗り込む。後部座席の更に後のスペースに他が乗り込もうとした時だった。



「…ちょっと待て。誰か運転できんの?」



颯は不意に気になった。



「・・・」



全員が黙る。



「ですよね!?」



わかりきっていたことだか、全員が中学生だ。車なんて運転したことがない。



「…俺が運転する!誰か鍵貸して!」


「え?あっ、うん!」



自分が引き受けようと思ったのか恒一が勢いよく、切り出す。鍵を持っていた花は、恒一があまりにも勢いがよかったので慌てて、もたつきながら鍵を渡す。花から鍵をもらった恒一が運転席に乗り込み、他のメンバーもそれぞれ車に乗り込む。和輝が助手席に乗り、残りのメンバーはというと後部座席裏のスペースにギチギチの状態で乗り込む形になった。一台の車に9人が乗り込むのだ。当然といえば当然だろう。



「ん?エンジンかからないんだけど」


「え?」



鍵を回した恒一だが、車はうんともすんともいわない。和輝が助手席から覗き込むと理由は一目瞭然でわかった。



「恒一君、これマニュアル車だよ…」


「マニュアル車って何…!?」



運が悪かったのか、恒一たち乗ったのは、今の時代あまり使われていないマニュアル車だった。マニュアル車は運転席側の一番左のクラッチペダルを踏まなければエンジンはかからない仕様になっている。しかし、そんなことを中学生が知っている訳もなく、『キーを回せばエンジンがかかる』と思っていた恒一は見事に失敗した。



「説明してる時間ないから、細かいことは僕がやる!恒一君は左のペダルを踏んで鍵を回して!」


「わ、わかった!」



恒一はクラッチペダルを踏みながら鍵を回し、和輝は不馴れな手つきでチェンジレバーとハンドブレーキを操作する。



「ハンドルを左に回して、アクセル踏んで!」



エンジンがかかると同時に和輝が合図を出す。



「了解!」



恒一がハンドルを勢いよく回し、アクセルを踏み込む。車は発進からものすごい速さで飛び出した。駐車場から左へ向かえば、校門を越えたところはすぐ道路だ。校門の柵はすでに開かれており、車は無事に道路に出た。



「…っ!?ちょちょちょちょちょちょ!?後ろ!来てる!来てる!来てる!」



後の窓から外を見ていた治翔が慌てて叫び、全員が振り向く。治翔の言うとおり、後ろからは悪魔が飛行しながら追ってきていた。数は一体しかおらず、おそらく、学校にいた悪魔には気づかれなかったが、上空にいた悪魔に気づかれたのだろう。



「恒一君、前見て!」



和輝が注意し、恒一は慌てて前を向く。



「恒一!次の曲がり角右に曲がれ!」



後方から颯が叫ぶ。颯からでも前の景色は見てとれ、前方には十字の交差点があった。このままだと追いつかれるが、悪魔との距離は交差点を曲がればギリギリかわせる距離感だ。助かるかどうかはわからないが、追いつかれるまでの時間は稼げるだろう。



「了解!」



後数十メートルの距離まで悪魔が近づいて来ている。



「せーので曲がるぞ!」



颯の言葉に恒一は、集中する。



「もう追いつかれるぞ!恒一!」



治翔が叫ぶ。



悪魔の手が車に触れそうになる。



「…せーのっ!」


「…ふっ!」



颯の掛け声と共に恒一はハンドルを思いっきり右に回し、右折する。悪魔はそのまま直線に進み、前方でクラッシュしていた車に直撃し爆発した。



「助かった、のか?…あ」



運転しながら恒一は車内のメンバーに声をかけ、鏡で後ろを確認する。しかし、そこには急な右折で左側に寄せられ、苦しそうなメンバーが映っていた。



「痛った…」


「ここどこ?結芽、学校にいなかった?」



挙げ句の果てに、悠祐と結芽は頭をぶつけ、目覚めてしまっていた。

爆発した悪魔は追ってきておらず、他の悪魔も追ってくる様子はない。



「と、とりあえず2人には後で説明するとして、今は落ち着ける場所に行こう。そっち最優先で頼む」



体勢を立て直し、颯は頭を押さえながら言う。



「うん、それが良い」



和輝もそれに賛同する。



「わ、わかった」



恒一の運転する車はふらつきながらも、道路を走りぬけていく。


読んでいただきありがとうございます。

次回も楽しみにして下さい!

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