木曜日
木曜日
朝。
「真栄市立真栄中学校の生徒が行方不明と――」
今日の天気は……珍しく晴れだ。梅雨もそろそろ終わるかな、なんて思いながら夏用の制服に袖を通す。
代わりに明日は土砂降りになるらしい。傘持って行かないと。
昼休み。
「ねえ棚橋さん。昼休み一緒に遊ばない?」
珍しく、同じクラスの女子三人組が話しかけに来た。休み時間はいつも引っ付いて回ってる三人だ。内容は一緒に昼休みに人狼ゲームをしようとのこと。私には夢がいるからといってその提案を断る。クラスメイトの女子たちとの間に、気まずい空気が流れた。
申し訳ないことしたな、と断った直後に思ったが、しかしなぜ、今更私と一緒に話そうとしたんだろうと疑問を覚える。今まで夢と話していたから話しかけに来なかったんだろーなー、なんてことは薄々気が付いていたけど、じゃあなんで今なのかな? 夢がいない時ならわからなくもないけど……。
三人組が人狼をやる集まりらしきところに戻ったのを確認し、私は夢の待つ校庭のいつもの場所へと急いだ。少し息を切らしながらたどりつくと、そこには昨日と同じ夢がいた。昨日と同じように下らない雑談をし、また昼休みが終わるのを名残惜しく思いながら教室に戻る。
こんな小さな幸せが、日々が、永遠に続けばいいのになんて思う。
少し蒸し暑い帰り。
「朱里ちゃん、またね!」
――その顔は、眩しくなるような笑みだった。