5話 また一兆円を貰った
ひまりちゃんとの結婚生活の事を考えてぼーっとしていると、女神様が立っていた。
「太郎。私があげた一兆円はどうした?」
少し怒っているような低い声だったので、僕は少し怖くなった。
でも正直に言った。
「お兄ちゃんに全部あげました」
「お兄ちゃんって、あの次郎三郎とかいう馬鹿の事か?」
「馬鹿って言わないでください」
「太郎……お人よしも大概にしとけよ」
「ごめんなさい」
やっぱり怒られてしまった。
「太郎。良く聞きなさい。私はいい人の太郎が使うと思ったから一兆円をあげたんだ。次郎三郎みたいな悪人の為に一兆円をあげたんじゃない」
「でも、お兄ちゃんもいい所はあるんです」
「あるかもしれないけど、悪い所の方が多いじゃないか」
「…………」
「悪人が大金を持ったら悪い事に使ったりするから、あんまり悪人に大金をあげない方がいいんだ。これからは気を付けてくれ」
「ごめんなさい。気を付けます」
「ほら、受け取るといい」
「これは……」
「一兆円の入った通帳だ。大切に使うんだぞ」
「いいんですか?」
「いいよ」
「ありがとうございます。二回も一兆円を貰ってしまうなんて……いつかお礼させてください」
「お礼なんかいいよ。太郎君が一兆円をいいことに使ってくれたら、私はそれでいいんだ」
やっぱり女神様はとてもいい人だ。
僕はとても嬉しくなった。
一兆円よりも、女神様の優しさが嬉しかった。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」