8.休日とはなんだろうか 其の一
新しい朝が来た、そんな歌詞で始まる歌があった気がする。
今僕はそんな気持ちだ。
気持ちよく起きられるというのはとてもいいものだ、実際気持ち良い。
しかし、朝から気持ちがいいのはここまで、一階に降りるとそこにはもう結奈さんと芽衣がいた。
芽衣は僕を見つけると、ニカッと、笑った。
「おはよーお兄!」
「ん、おはよう。」
まだ眠いので適当に返答する。すると驚くことに、もうあさごはんができているではないか。
卵焼きに、味噌汁、ご飯などなど、完璧な和食である。
僕の妹はこんなに料理できたのか、半信半疑で感動しながら聞いてみる。
「これは芽衣が作ったのか?」
すると芽衣は、首を左右に振って答えた。
「お兄、実はね、私じゃなくてー、結奈さんが作ったのですー!」
デデン!とばかりに手をひらひらさせて、芽衣は結奈さんをおだて上げている。
すると、恥ずかしくなったのか、結奈は顔を赤くしていた。
しかし、それは一瞬だけで半端緊張しながら胸を張って言った。
「こ、これくらいは出来るから当然だよ!」
という。しかし、見れば見るほど美味しそうだ。
ここ二、三年は食事は大体自分で作っていたので、人が作った料理を食べるのは久しぶりな気がする。
「美味しそうだね。」
とだけ答えて、僕は自分の席についた。芽衣も結奈さんも、席に着く。
全員で席についたところで挨拶をして食べ始める。
「「「いただきます!」」」
食べながら、結奈さんがいつ帰るのかを芽衣に小声で聞いてみる。
「ねえ、芽衣。結奈さんはいつ帰るつもりなの?」
すると食べるのに夢中な芽衣は口の中でもぐもぐしながら答えた。
「?昼くらいに帰ると思うよ。ね?結奈さん!」
強引に結奈さんに聞いている芽衣。
なんとも言えないけど、我が妹ながら、それはどうかと......。
不意に聞かれた結奈さんは戸惑いながらも答える。
「うえ!?芽衣ちゃんいきなりすぎない!?そ、そうだね、多分昼くらいには帰るよ!」
あたふたしながら結奈さんは言っていた。
うん、それよりこの味噌汁美味しい。
そんな会話をしながら、朝ごはんの時間は過ぎていった。
朝食を済ませた後、休日なので特に用事もなく、家でゴロゴロしていると、芽衣と結奈さんが近づいてきた。
何やらまた嫌な予感がする。
2人の手をよく見るとそこには布のようなものが見える。
まずい、何かがまずい。
そう思ったので移動しようと思ったが、芽衣に腕を掴まれる。終わった。
「お兄、何逃げようとしているの?」
すると、結奈さんも便乗して、そうだそうだ!という勢いで言う。
「そうだよヒナくん。せっかくの休日なんだから、服もこだわらないと。」
迫る2人。そういえば昨日もこんなことあったな。そう思いながらまた僕は女装することになった。
しかし、ある問題があった。それは履くものである。
昨日女装させられたときはズボンだったので良かった。しかし、今着させられたのはスカートだったのだ。
今まで芽衣にはスカートを履かせられたことはなかったので初めてなのだ。
なんか足がスースーするから、変な感じ。
そんなことを思いながらすることもないので、スマホを触りながらダラダラしていた。
芽衣と結奈さんはというと、楽しく話していた。
以外にも時間は経っていき、お昼になった。結奈さんは帰るみたいだ。
結奈さんが帰る支度をしているところに、さみしろうな顔をした芽衣が立っていた。
別れるのが相当悲しいらしい。
すごい仲良くなってたもんなぁ。
帰る準備ができたらしい結奈さんは、目を潤ませている芽衣を見つけると、ギュッとハグしにいった。
「大丈夫!芽衣ちゃん、また会えるから!会いに来るから!」
結奈さんはまた来るつもりらしい。また、結奈も寂しいみたいで、声も震えている。
悲しいシーンなのかなこれ。
「わがりまじだ〜!まっでまずー!」
芽衣も言う。
おいおい、うまく喋れてないじゃないか。というか、同じ学校なんだからまたすぐに会えるのでは?そう思っていた僕に結奈さんは向き直る。
「じゃあこのくらいで、またね!ヒナくん、芽衣ちゃん。お邪魔しました〜。
あ、そうだヒナくん!明日忘れずきてね。」
結奈さんはそう言い残して帰った。なんだか、疲れが一気に来た気がする。明日、忘れないようにしよう。じゃないと何かされる、そう心に誓った。
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