シュールマン2
昨日見た夢を柔らかくしてみました。
俺の名前は鵞玉、いつも普通に過ごしているただしがない一般高校生だ。
そんな俺だが、ある日俺の背中に全身タイツの謎の男、シュールマンが張り付いてから毎日の生活が奇怪で奇妙なものとなってしまった。
鏡を見るとそのシュールマンは俺の方を向いて、唾液を垂らしながら語りかけてきた。その視線は意味もなく右左に揺れている。
「吉住マーケット田舎に出店した後にパチンコ屋になるかも知れないってスーパー評論家の中田が言ってたらしいよこんなの一般教養だよね」
「は?」
「炒飯ライスにはアリンコの触感があるらしいね私は食べた事ないけれど俺的おすすめなのはジンジャエールシチューかな黄泉丸大臣もおすすめだってよ」
「は?!」
朝からこんなことばかり俺の耳元で囁くシュールマン。流石に嫌になって振り払おうとすると、突然首が伸びて俺の方に真顔らしき顔を見せつけながら語る。
「お前がもし俺を振り払ったら僕は家族を皆殺しにするかも知れないって私は思うよ。」
ニタニタと笑いながら得体の知れない脅迫をするソイツ…いやソイツらなのか?俺の推測だとシュールマンは一人ではない。明らかに多数の人格の意識が混濁した結果、何らかの意図で生み出された得体の知れない怪物だ。
「分かってるさ、だから家族を殺すのだけは勘弁してくれ」
「御意って感じかな?それともイエス。OKだけは絶対に許さないよアタイです」
イエスともノーとも取れない反応。そして時間が流れるにつれ増えるシュールマンの戯言。
俺は正直面倒臭くなって無視を決め込み、登校する為の準備を済ませた。
「こんなことをしている場合ではない。学校にいかねば」
シュールマンがいる事はどうやら俺にしか分からないらしく誰も気付く様子はなかったと思う。
「お前がシューマイと思ってるの実はショーロンポーだよつまりグリーンピースも枝豆だったという事なのさ」
シュールマンは急いで家から飛び出した俺にまだ戯言を垂れ流す。耐えきれなくなった俺はシュールマンに向かって怒鳴った。
「うるせぇ!いい加減黙れ!」
「ふひっ。おこおこおここここ!?!」
奇妙な笑い声を上げながら俺の顔の前にまた首を伸ばし真顔を見せつけてくる。シュールマンが戯言を垂れ流すのはいつまで続くのか…。
ー
学校に着いた俺は席に着き教科の準備をする。
「よっす。鵞玉さん、早いっすね」
俺に話しかけてきたコイツは塵山。美貌英知高身長運動神経抜群容姿端麗文武両道で生徒会長のモテ男だ。ぶっちゃけモテすぎてウザい。
「塵山か、ど「ひれ伏せ雑魚が、我の御前であるぞ武を弁えローメン」
俺が話しかけようとした瞬間割り込んできたシュールマンが戯言を吐いた。
「は、鵞玉さん?どうかしたんすか?」
「いや。何でもない。そいえば今日の教科って何だったっけ?」
「国数英理美っす…。俺ちょっと用事思い出したんで。ほんじゃ」
常國はそそくさと俺の前から去り、すぐにいなくなってしまった。退屈になった俺はクソカスど底辺カスゴミ陰キャの寐觀に声をかけた。
「おっす寐觀。」
「が、鵞玉様。今日もお美しい。さすがっす」
このド低脳クソカスはどうやら「さすがっす」で、本当に何とでもなると思っているらしい。死んで冥界で脳味噌をドライクリーニングした後にパックしてしまえばいい…なんて思う。
「俺の至らなさが憎いっす」
取り敢えずこれで寐觀にマウントを取る。これをすると寐觀は、何故か土下座し横スライドしてから、金を渡してくるからだ。
完璧なる黄金プラン。ミセスアンデマンナリーも感激ものだろうな。見た事も聞いた事も無いけどね。
「は、鵞玉様…感激です。存在そのものが神を超越した何か。間違いない神なんかより鵞玉様のが素晴らしい。あ、いつもの十円です。懐にお納めください。」
「おけ」
俺はよく小遣い稼ぎにこのド低脳クソカス陰キャATMを利用している。まぁ普通にナ田狭の綾波では当たり前のことだけどな。
そして寐觀を後にして尿意を催した俺は黄金水を出すべく、トイレへ向かった。するとそこに寐觀がいた。
「あ、林様おはようございます」
何故か俺に挨拶をしてきた寐觀。俺はすかさず先程すでに挨拶した事を指摘する。
「は?今さっき挨拶しただろ?」
だが、その指摘を受けた寐觀はすっとぼけた様に首を傾げた。
「え?そうでしたっけ?」
おかしい。俺は確かに寐觀から金を巻き上げたはず…というかなぜ金を巻き上げていたんだ?
ふと、気になって懐に入れた十円を見ると目の前でドロドロに溶けて人型らしき形を作り上げて目の前にシュールマンが現れた。
「林さん!何スカそれ!」
「見えるのか?」
寐觀にもどうやら見えているらしく、普段の無表情からは想像が出来ないほど、かなり驚いた表情をしている。
「林さんさす……」ブチ
シュールマンは爪を伸ばし容易く寐觀を目の前で刺殺した。流れ落ちるのは赤い液体。トマトケチャプよりも濃く深い。
赤色が目の中に入り込む様に、赤だけで視界はすべて覆われて行く。気が狂いそうだ。
「お、おい!やめろシュールマン!!」
この時俺は気づいたしまった。少しずつこの狂気が俺を飲み込み始めてきたことに。そしてこれは俺自身…いや何か得体の知れない存在ではない。それがな('mgdtwp.
ー
気がつくとヌMaは血塗れのナイフを握っていた。そこから垂れる血は透き通っていてキラキラと宝石の様に輝いている。なんて美しいんだろうか。
「この赤色をもっと見たいな。」
ヌMaはそう無垢に…純粋に思い行動を始めた。手始めに目の前で転がる名も知らぬ死体を掻っ捌いて、当たりに鮮血を散らした。
「赤。赤。赤。赤。赤。かあかあかあかあかあ。」
何故だか全ての欲求が満たされる感覚がした。今まで足りなかった所が埋まった様な気分なのかもしれない。とても気分が高揚したヌMaはもう一人殺す事にしたのだろう。
ターゲットは運悪く、このトイレに入ってきた塵山君。
「が、鵞玉!お、おおおおおまえなんて事を!!!」
すぐに背中を向けて走り出し、助けを呼ぼうとする塵山君にヌMaは近づき首元をスッとナイフで撫でる。
その体は勢い良く倒れて動かなくなった。そこから勢いよく現れた、美しく綺麗な血を舐めながらまたヌMaは一つ高揚した。
例えるなら赤信号を渡って車に轢かれた時の様な、多分生きているって感覚が凄いやなんてヌMaは考えて喜ぶのだった。
「これから皆はもっと血を流すんだよ。ヌMaの為にね……」
ー
気がつくとそこはトイレだった。
しかしただのトイレではない。人が何人も死んでいる。転がっているのは、どれも滅多刺しにされた悲惨な物ばかり。
「あ、ああ。」
俺の目の前でシュールマンは長い首を研いでいる。今までシュールマンは戯言を吐くだけで、現実に干渉してこなかった。
なのに今回多くの人をシュールマンは殺した…怯えた俺はその場から逃げようとするも足に何かが絡み付いて動けない。
拾い上げると、それは血に濡れた誰かの腕だった。
「うっ。うわぁぁぁぁああ!!!」
拾い上げた腕をすぐに投げ捨てた俺はその場に倒れ込んでしまった。シュールマンが割ったのか…逃げようとした時に被害者が割ったのか分からないが鏡の破片が足に刺さる。
「痛い!」
思わず声を上げた俺はその鏡を手で引っこ抜く。するとその血塗れの割れた鏡の破片には、俺の姿がぼんやりと映し出された。
そこにはシュールマンがいた。
終わり。
駄文を読み切った方へ
お疲れ様でした、こんなの読んでるくらいだから相当疲れているのでしょう。
今日は温かいコーヒーでも飲んでから、ゆっくりと休んでください。