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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

冤罪で追放された令嬢は、チートさんに拾われる

作者: オレンジプリニー

お試し版です。気楽に読んで頂ければ幸いです。

「私カイル・スチューピッドはロゼリア・アーデルハイドとの婚約を破棄し、ここにいる麗しきマリアンヌ・フラワーガーデン嬢と新たに婚約することを王太子の名において宣言するっ!」


 ここはスチューピッド王国の学園のイベントなどを行う会場でございます。

 本日は学園の卒業パーティーでして、只今非常識な行動に出ているのは、私ロゼリア・アーデルハイド公爵令嬢の婚約者カイル・スチューピッド王太子殿下です。

 こんな公の場で婚約破棄を宣言しますか? 常識を疑います。

 その横には昔から私に突っかかってまいりますマリアンヌ・フラワーガーデン公爵令嬢です。

 昔から一方的に何故かライバル視されているのですよね~。

 そして殿下に抱き寄せられながらドヤ顔して此方を見るのも如何なものでしょうか?

 淑女の嗜みは何処へ?

 そんな思考に耽っておりましたら見知った方々から罵倒が飛んでまいりました。



「影でマリアンヌに嫌がらせしていた性悪女めっ!!」

「優しいマリーを散々苛めてホント最低だよね~」

「お前のような悪女が我が妹とは本当に情けない…」



 騎士団長の嫡男であられるゲオルク・ブレインマッスル様。

 王宮魔術師筆頭のご子息ウィズ・チャイルド様。

 そして私の兄であるアベル・アーデルハイド兄様。


 マリアンヌ様の取りま…失礼。懸想されている方々の筆頭です。

 まあ、その中に兄がいるのは情けない話ですが…。


「殿下、私、身に覚えがありませんわ」

「この期に及んでシラを切るのかっ! 証人もいる!」

「そうだそうだ! マリーに対するお前の嫌がらせの証言もとってるんだぞ!」

「妹よ…いや、もはや妹でもないな。ロゼリアよ素直に罪を認めるんだ」

「証拠はございますの?」

「「「「マリーがそう言っている!!」」」」


 …え~とそれだけで私のせいにされますの!?

 証人、証言ってマリアンヌ様!?

 殿下…頭はそんなに悪くなかったのに、いつの間にかお花畑になっておられたのですね。

 彼らが仰るには乗馬の道具に細工した、湖に突き落としたやら、お茶会の時に紅茶をかけられたなど。

 他にも色々と言われましたが、これって私がされた事なんですが。

 周りの常識ある方々も呆れたように殿下達を見ています。

 どう考えてもこれって冤罪ですよね。

 元々私と殿下は婚約は政略的なものですから、殿下そのものに未練なんてありませんから婚約破棄…まあ今後を考えて、せめて婚約解消か白紙が良かったのですわ。

 皆様も私が王妃教育でアリバイあるのはご存じですが、殿下に意見するなど不敬に取られると思ってか、誰も助けてはくれませんけどね。

 私と視線を合わさない様に逸らしていらっしゃいます。


「ロゼリア様! 一言謝罪して頂ければ私全てを水に流して許しますわ」

「「「「なんて優しいんだマリー」」」」


 なんと申しますか出来の悪い舞台を見ている気分です。


「殿下、婚約破棄は承りましたが謝罪はお断り致します」

「貴様っ! マリーの慈悲を無碍にするのか!?」

「酷いですわロゼリア様! 私はただ謝罪さえ頂ければ…」


 よよよっ、と殿下にすがりつくマリアンヌ様。

 鼻の下が伸びてますわよ殿下。

 私の視線に気づいた殿下は指さしながら叫びました。



「もうよい! マリーに謝罪すれば許してやろうというのに…俺としては貴様のような女は処刑したいところだが、マリーが『処刑は可哀そうですわ~』と言うから、身分を剥奪の上、国外追放とする!」


 殿下…元々殿下の権限では処刑は出来ませんよ。

 心の中で突っ込みさせて頂きました(笑)

 そんなことを考えていたせいでしょうか。

 ふと気づくと、『連れていけ』と殿下の命を受けたゲオルク様達が私の腕を掴んできました。


「痛い! 離して下さい!」

「黙れっ! このまま国外へ放り出してやる!」

「お兄様! 私は無実です!」

「兄と呼ぶな! お前はもう他人だ! ゲオルク、ウィズそいつをそのまま連れて行ってくれ」


 こうして私はあれよあれよという間に無理矢理馬車に乗せられ、着の身着のまま国外へと連れ出されたのでした。



 さて話は変わりますが、当スチュピード王国を少し出た先に"死の森(デスフォレスト)"と呼ばれている壮大な森林がございます。

 他国とも隣接しているこの森はどの国の所有でもない不可侵領域となっております。

 その理由としては"死の森(デスフォレスト)"には高ランクの魔物や魔獣が多数住み着いているのです。

 最低でもCランク相当らしいです。

 らしい、というのは遥か昔に各国が調査隊を派遣したのですが、ほぼ壊滅な状態で運よく命辛々戻った方々(その方々は後に皆気が狂ったらしい)が証言するには『CランクどころかAランクやSランクまで居やがるっ!』とか『ドラゴンがいたっ!』などとの事。

 空を飛べる獣人の鳥人族などが上空からの調査を試みましたが、空を飛ぶ魔物達に攻撃され調査は中断。

『我こそはっ!』と一攫千金や名声を狙った冒険者などが森へと入っていきましたが生きて帰ってきた方はほぼいないらしいです。(生きて帰って方は手足などを失い普通の生活も困難との事)

 各国の上層部の方々は話し合った結果、"死の森(デスフォレスト)"はどの国の領地にも該当しない不可侵領域となったのです。

 高ランクの魔物や魔獣は餌が豊富なのか森から出てきませんので、こちらが侵入しなければ害がないようなので、各国の兵士やギルド冒険者を森の近辺の巡回程度の処置をとることになったそうです。

 たまに入り口近辺では生存競争に負けたのかDランクほどの魔物や魔獣が出て(Dランクも住み着いているようです)巡回の方が討伐大変らしいですが…。



 で、あっという間に国外へ連れ出された私ですが、ご説明しました"死の森(デスフォレスト)"近くで無理やり馬車から降ろされました。


「降りろっ悪女め!」

「こんなところで降ろしてどうされるおつもりですか?」


 ニヤリとした笑みを浮かべたゲオルク様とウィズ様は仰いました。


「マリーは優しいから処刑するなと言ったが、俺らとしては納得いかん」

「そうそう。君みたいな性悪女は死んだ方がマリーも喜ぶもんね~」

「キサマの兄のアベルも了承済みだから安心して死ぬがいい」

「ボクの魔法で切り刻んであげるよ♪ あ、殺されるのがイヤなら森に逃げてもいいよ~。魔獣に食い殺されるけどね♪」


(逃げなければっ!)


 しかしゲオルク様は剣技の達人ですし、ウィズ様に至っては王宮魔術師筆頭の息子だけあり中級魔法まで使いこなす魔術師です。

 まあ、マリアンヌ様にかまけてサボっていたので中級程度ともいいますが。


「兵達よロゼリアを逃がすなよ」

「しかしゲオルク様! "死の森(デスフォレスト)"の目の前ですよ! しかもこの辺りは最近Cランクのデビルウルフの目撃情報が…」

「うるさい! お前達はこの罪人の処刑を手伝えばいいんだ!」


 武器を構えたゲオルク様達がじわり私に近寄ってまいります。


 貴族は強い魔力もちが多いのですが、私は生まれつき魔力が少ししかありません。

 そんな訳で、私ではゲオルク様達の隙をついて逃げるなんて出来ません。

 一か八かで森から他国へ逃亡しようかと考えておりましたら、後ろの茂みがガサガサと音を立てて黒い獣が姿を現しました。


「ひいいいいいいぃ! で、デビルウルフだ!」

「狼狽えるなっ! Cランク程度だろうがっ!」

「ゲ、ゲオルク…2~3匹ならまだしも、50は下らないよ! 流石にヤバイよ!」

「オレ達の殺気で縄張りが荒らされたと思って来やがったんですよ!」

「ちいっ! ロゼリアは後回しだ! 構えろ! 来るぞっ!」


 私が近いにも関わらず、ブラックウルフは唸り声と共にゲオルク様達に襲いかかりました。

 恐らく私は何時でも狩れると判断したのでしょう。


(今のうちにっ!!)


 私は駆け出しました。彼らに殺されるか、魔物に殺されるかの違いでしょうが諦めません。



「ロゼリアが逃げたぞっ!!」



 彼らがデビルウルフと対峙している間にと必死に走ります。

 何匹か後を追いかけてきてますが私はひたすら走りました。


 どれくらい走ったことでしょう。

 生い茂る森は方向が分からず、がむしゃらに走りました。

 街道に出るつもりが奥へと来てしまったようです。


(はぁはぁ…もう走れませんわ)


「グルルゥ」

「ガァァァ」


 私を追い詰めたデビルウルフの爪が背中を引き裂きました。


「ああっ!!」


 デビルウルフにしたら追い付けるはずなのに、すぐに襲わなかったのは私を弱らせてから狩るつもりだったのでしょう。

 倒れた地面は赤く染まり、血溜まりが出来ています。


(ああ、もうダメ……)


 痛みを感じながら死を覚悟した私でしたが、前の茂みからガサガサと何かが近づいてきます。


 ガサガサ


「ふひ~久々の散歩は疲れるぜベイベー……って、え、ええっ!? 血塗れ銀髪美少女発見でしゅ~!」

「………」



 目の前に現れたのは一人のホビット――亜人の少女でした。


「に、逃げて下さい!!」


 何故こんなところに少女が居るのか分かりませんが巻き込む訳にはいきません。


「う? ああ~毛皮たん? 大丈夫じょぶじょぶ。こいつら私見ると最近逃げんだよね~」

「はい?」


 少女が『毛皮~♪』とデビルウルフに一歩近づいた瞬間……


「キャウン、キャウン」

「ちっ、毛皮が逃げた~」


 一目散に逃げましたね……

 見た感じではただの少女なんですが、この時の私には分かりませんでした。


「さて、そこの銀髪美少女たん。こんな危険地帯にいるって事は自殺志願者かい?」

「ち、違います」

「え? ちゃうの? 目が死んでるぽいからてっきりそうかと。私さ~死にたい人助けるほどお人好しちゃうし。じゃあさ~……」


 倒れる私の前にしゃがみこんだ少女はニヤリと笑いながら問いかけてきました。



「チミは死にたいの? 生きたいの? どっち?」




 これが後に恩人で親友となる彼女との出会いでした。

 彼女に救われた私は振り回されつつも新しい人生を歩むことになるのですが、その話はいずれまた……。





「何サクサクとドラゴン狩ってるんですかっ!?」

「え? 戦闘系スキルないけど解体でしゅ♪ 職人スキルだよ。ドラゴン肉は激うま肉♪」


「な、何で殿方同士の恋愛話を本にして販売してるんですかっ!!」

「え? ボーイでラブは腐女子の嗜み♪ 意外に売れてます♪」



 など―――ツッコミ満載な彼女ですが私は幸せです。













ホビットは某F〇14のララ〇ェ〇イメージで書きました。脳内ではスラスラなのにいざ文章にしようとしたら難しい…( ̄▽ ̄;)

なろうでの作者様達はすごいなあ♪尊敬します!

読んで下さった皆様に感謝ヽ(*´▽)ノ♪

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