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まじでうるさい

作者: 犀星ゆき

あー金がほしい


金がほしい


金がほしい


金がほしい


金だけあれば〜


防音がしっかりした無音の家で暮らす。


外には出ないで済むし、車の走行音でさえも聞こえないし、うるさくなくて済む。


その家では俺以外の存在は要らない


絶対に生き物を中に入れない。


家族もペットも、金があれば同居せずにすむのに


金がないからな〜


お金ある人って良いよな


お金があれば大抵のストレスから逃げられる


それがいよいよ精神に異常を来す前に、


ちょっと嫌だな〜って思った時点で、その状況を変えられる


金がないから変えられないのだ


金が全てじゃないとか言うのは事実だ。


でもそれは全ての物事には絶対はなく例外があることの細々とした例外の方を論ってるようなみみっちい詭弁だ


少なくともお金があれば犯罪しなくてすんだり、病気にならずにすんだり、仲が悪くならずにすむことが多い


お金さえあれば解決したり、そもそも起こらない問題ばかりだ


人間の基本的なストレスは人間関係から発生する


したくもない人付き合いを、苦痛でしかない人間関係の形成を強いられるから


でも、十分なお金があれば、そのシステムから逃れられる


高層マンションの最上階にでも引きこもって、そこで何の生活不安もなく暮らしたい


全ての買い物は通販で済まして、食事は高い料理の出前を取る


そこで別に仙人のように暮らそうってわけじゃない


人間関係の一切を断とうってわけじゃない


金があれば取捨選択出来るのだ


生活のために仕方なく、頭の悪い上司の頭の悪い発言にぺこぺこして、日頃のストレスを店員に意味なく怒鳴って発散しにくるだけの害悪老人に愛想笑いを強要されて、それをしないと金貰えない社会システムに縛り付けられることがなくなる。


綺麗な女の子とだけ話す


でも女の子の話って面白くないから基本的には映画でも見るかもしれない


あーあ。


そんなこと考えてるのは、何でだ


うるさいんだ


何も情報を入れたくないんだ


うるさいんだ


近所のババア共の井戸端会議のしわがれた喋り声がうるさい


犬がうるさい


全部うるさい


光がうるさい


太陽光がうるさい


目に入る情報さえもうるさい


目を閉じていたい


眠っていたい


何の情報だって入れたくない


しんどい


俺だけの城の中に籠りたい


そこでは全ての物事を俺中心な政治をする


ちくしょう


社会って言うのは、みんなが幸せに生きるための共同体なんだろ?最大多数の最大幸福とかなんとか。聞いたことあるけど…。


じゃあなんで俺はこんなにもいつもしんどいの?


社会には人が大勢いるから、全員の個別の理想に合わせられるわけがないのは分かるけども


ちょっとくらいは、せめて1億2000万分の1くらいには俺にも利益がある社会でなきゃおかしいじゃないか


俺が1億2000万分の1の幸せを享受出来ていないのであれば、この世の中に俺のその1を奪って1億2000万分の2を満喫してるやつがいるのだろうか。


そうなんだろうな


みんな金があれば手に入るんだ


努力したら金は手に入るとか言うけど


努力出来る段階にないんだ


俺は外に出たら常に記憶が飛びそうになるし、


人生にもういいやとか頭が勝手に言い出して、死にそうになって頭が変になるのだ


なんで俺はこうなったのだ


親のせいだ!教育のせいだ!いじめのせいだ!孤独のせいだ!この社会のせいだ!


こういうことを言うと、「凶悪犯罪者の他罰的な思考。その認知の歪みとは〜?」みたいな記事が書かれて、記者の人が金儲け出来て、みんなは自分の正気を担保してくれる狂った攻撃的な人間として俺を利用して殺すだろう


結局受け入れてなんかもらえないんだ。


でも、じゃあここで視点をスイッチしてみよう。


俺の幸せってじゃあ何なのだろうか


女といっぱい交尾出来たら幸せなのかな?


分からないけど


自分の子供とか出来るのは怖すぎる


殺して息の根を止めたくなるだろう


妊娠させることに男としての喜びを感じるのが普通だというのは分かっているのだけど、


経済的な不安が解消されたとしても、俺はそれ以外のところで自分の子供なんて存在を受け入れられないとおもう


気持ち悪い


それにうるさいのが時々ダメになるから、ずっと一緒にいなきゃならない家族とか論外だ


いや、そこは広い家で干渉してこない人間なら問題ないのか?


いや、じゃあ別に結婚する必要もないか


俺は未来の自分はこれをしていたら幸せだろうなんてことは分からない


みんなはわかるのかな?未来の自分は、これをしていたら、こういう人と結婚してこういう生活を送っていれば、こういう活躍をしていれば、幸せだろう。


それに確信を持てるのだろうか。


俺は、6時間先の自分の幸せにも確信が持てない


だから今しかないんだ。


今の、この瞬間の、安らぎとか、憧れとか、ノスタルジーとか、切なさとか、怒りとか、心地よさとか、そういった

ことを見つめていくんだ


将来の話は俺にとって絶望を突きつけてくる


将来の話とかをポジティブな話だと強要してくるやつがうざい


将来の夢とか、そこに広がる展望希望なんてものは、それを心から信じて語れないものにとっては空虚で、希死念慮を強める燃料にしかならない


未来の幸せなんて想像するのは毒だ


俺は今しか見えない人間なんだから、今のことを見るしかない。


今の苦痛と、今の虚無と、今の辛さは、今の希死念慮とは、対等に渡り合えるけれど


未来を感じることが出来ない俺が、その乏しい想像力で想像する未来のソースはいつも他人の、ジジイババアの感性として経験則と想像力が基準になる。


だから、俺は死ぬ


このままいけば一生幸せにならずになって死ぬって呪いのような言葉を何度浴びせられただろう


孤独死、病死、自殺、社会への呪詛を動機とした無差別殺人という凶行


未来なんてUFOみたいなもんだ


みんな感じることなんて出来ないくせに、


分かりもしない知りもしないことを、あたかも自分が全部想像したものみたいに、


ステレオタイプの空飛ぶ円盤を描くんだ


意地っ張りと言われようが、俺は、UFOを描けと言われてもフリップに「知りません」と描く。


No,Futre


未来にあなたを待つ無限の可能性が〜とか、言われるよりも断然こっちの方が俺は好きだ


お前には未来がない!


なんていい言葉なんだろう


未来はないぜ!


セックス・ピストルズは最高だな〜


書いてるうちに、うるさいのがすっかりなくなったよ


今は聴力を失いたいとか、だれもいない暗い部屋の中に籠りたいとか、思わないものな。


さて、漫画でも読むとするかな。



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