始まり。
少し暗めの内容となっています。閲覧には気をつけてくださいませ。
…リュニリンス。そこは、リュニリンストという小国のみが存在し、繁栄している異世界である__________。
「ねぇねぇ!ルン!」
ルン…それは、ルンプレンティスという少女のあだ名だ。
「なぁに?ミーノ!」
ミーノ…ミーリノリンという少女のあだ名である。
「ルンってさ、仲良い子多いよね〜!」
ルンプレンティスは少し考えて、
「そうかな?ミーノ。」
と答えている。……どうなのだろう?少しばかり、興味が湧いてきた。
「うんうんっ!ルンって、悪戯っ子だけど頭いいし、運動は出来ないけど手先は器用だし…。ルンはすっごく人気だもの!」
ルンプレンティスは、はて?と言うように首を傾げた。
「そうかな?私、″普通″なんだけどな…。」
何故だか、″普通″がやたらと強調された気がするのは私の気のせいだろうか?
「も〜!″ここ″にいる限り″普通″じゃないってば!」
ミーリノリンがそう言ったことによって、私の疑問は解消された。…やはり、″普通″は強調されていたのか…それにしても、ミーリノリンの強調した、″ここ″…どのような意味なのだろうか?
「まぁね〜。だってさ…″ここ″って… 死後の世界に隣接してるじゃんか…。」
…驚愕の事実だ。死後の世界に隣接…だと…?ならば……私はここで、何ををせねばならぬ?再びここで死ぬか。それとも…現世へ戻るか________________。
「うんうんっ!あ。ところでルンはさ、なんでこの世界に来たの?」
それは、聞いてもいいのだろうか…?
「うーん…。私、謎なんだ〜。気がついたらここにいた感じ。覚えてるのは、車が目の前に迫って来たことだけかな…。なんで…?って思いながらね。」
ルンプレンティスにはもしや、未練でもあったのだろうか?
「そうなんだね〜。じゃあ、ルンはさ。未練が残ってるから、ここに来たんじゃないかな?」
ミーリノリンがそう言い放つ。私は、ハッと息を呑んだ。
「ここってさ……現世に心残りがある人と自殺した人が集まる世界だもん。」
…心残りこそないが……私は、自殺者だ…。ビルの屋上から飛び降りたのだ…。だから、ここに来たのか。
「だよね?そこの君。人のことずーっと見てるけどさ。あんたは何でここに来たの?」
私は、ごくりと息を呑んだ。…見抜かれていた、だと?
「私…私は、自殺者だ。名は……。」
名前…本名はダメだ。ならば……。
「名は、ルイディアン、という。」
そう言うと、ミーリノリンは眉間にしわを寄せて、
「へぇ〜…。ルイディアン、ねぇ…。それは、ペンネームか何かかしら?本名だとは思えないのだけれど。」
と言った。私は思わず、ギクッと肩を揺らしてしまった。何故かって?当てられたからだ。
「小説でも書いてたわけ?あんた。」
何故、知っているのだろうか…?
「あぁ、そうだ…。元々、携帯のメモ機能に打っていたんだが、ある程度形になったからとWebに載せたら……叩かれたんだ…。しかも、載せて直ぐに。こんなのありえない、とか…な。」
ミーリノリンは組んでいた腕を解いて頷いた。
「なるほどね。それが原因で自殺したわけか。で?どこで自殺したわけよ?」
私は一瞬黙り、答える。
「とあるビルの、屋上から飛び降りたんだ…。」
と。
読んでくださりありがとうございます。如何でしたでしょうか?