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東の森へ

こ……コメントとか、評価とか、くれてもいいのよ(ツンデレ)

 レイチェは迷っていた。

 何度も計算をし直し、計測もし直した。

 けれど、目の前の事実は変わらなかった。


「どうしましょうか」


 思わず二人に問いかけるが、二人は揃って東の方角を指すだけだった。言葉にしなくてもわかる。彼らは、東に進めば、そこにリオウ達がいる、となぜかゆるぎない自信を持っていた。

 地図が読めない男女に聞いた自分が愚かだった。

 そう思って、また地図を見る。

 この数日間の旅の中で、レイチェは何度となく、二人の価値を計りなおしていた。

闘いにおいて非常に頼もしく、食材を見つけたり、それを料理したりすることにも長けている。数少ない出会った人に対しての交渉術も巧みで、冒険者になるべくしてなった、という二人に思えた。

 けれど、なるべくしてなったと思わせる一方で、冒険者にとって致命的な欠陥が二人にはあった。


 地図が読めない。


 そしてなまじ強いだけに、平気で無茶をする。

 だから、危険を避けられる場面で危険に遭遇することもあった。

 そして、そのしわ寄せは、最も弱く経験の浅いレイチェに来る。

 奇跡的に五体満足でこの場に立っているものの、正直命が危なかった場面も一度ならずあった。

 だから。

 レイチェにとって、彼らは非常に優秀な冒険者であると同時に、非常に危険な冒険者でもあり、ポンコツといって差し支えない冒険者でもあると言えた。

 見た目の美麗さも慣れてきたここ数日。

 レイチェの態度は、はじめよりだいぶ砕けたものになっていた。


「杖は東を指している」


 ミナトが言った。ならば、東へ進むことに何の疑問もない、と。


「けれど、追跡魔術によると、とりあえず東南を指している」


 そう。

 杖の持ち主を探す探索魔法と、人の足跡をたどる追跡魔術で、示す方角が違ったのだ。追跡魔術の通りに進もうとすれば、非常に遠回りになる。最終的に東にある杖の片方までたどり着くかわからないほど、 複雑な道順を示していた。


「カイン先生のことだから、何か意図があってこの道なのかも」


 追手を撒くためかもしれないし、それが東の森へ入るための正式な道なのかもしれない。そこまでは、レイチェにはわからない。


「二択だね」


 ナギが言った。

 探索魔法が示す方角、東へ進むか。

 追跡魔術が示す方角、東南に進むか。


「東の森は未知の世界だ。行く先で何があってもおかしくはない」

「必要なのはさ、レイチェ」


 ナギが言った。


「最善を尽くした後、覚悟決めて突っ走れるかどうか、だと思うんだよ」


 東の森はミナトの言う通り、未知の世界だ。

 だから、ここでどの道が安全かなど、わかるわけがない。

 賭けだ。

 けれど、やれることはやった。運に任せるだけの賭けとは違う。


「多数決でいいな」

「そうですね」


 頷いた。

 そして。


「なんで、いや、あなたたちならそうでしょうね」


 結果は二対一。

 レイチェは苦笑しつつ、勝者の二人の後を追った。

 東の森の境目だろうか。

 一歩足を踏み入れた時、不気味な鳥の鳴き声が響いた。

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