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夜の郊外の細道。
俺はその道を俺は車で飛ばしていた。
このあたりは田舎ではあるが、山道と言うわけではなくて、ほぼ真っ直ぐで見通しのよい道だ。
――遅くなってしまったな。
目的地まではまだまだ時間がかかりそうだ。
そんなことを考えながら走っていると、道の真ん中に立っている人影をライトが照らした。
突然のことであり、予想外のことでもあり、俺は慌てて急ブレーキをかけた。
車はその人物の数メートル手前で止まった。
――危なかった……。
なんでこんな時間、こんなところに人がいるんだ。
怒鳴りつけようかと思っていると、そいつがこっちにやって来て、窓を叩いた。
見れば大学生くらいに見える、暗い印象の男だった。
不自然なほどに顔色もよくない。
男は言った。
低くて聞き取りにくい声で。
「すみません。N市まで乗せてもらえないでしょうか」
N市までだって?
俺はちょっと呆れた。
N市は逆方向のうえに、けっこう遠かったからだ。
そんなずうずうしいことをあっさり言うなんて。
俺はぶっきらぼうに言った。
「N市は遠いし、おまけに逆方向だ。俺は急いでいるんでね。悪いが乗せてあげられないよ」
「そうですか。残念です」
男はそう言った。
俺は男を残して車を発進させた。
しばらく車を走らせていると、また道の真ん中に男が立っていた。




