作戦
「作戦会議を始める。」
暗殺実行まで15日。
今日はアクトのやつが久々に帰ってきたので、情報を交えつつ作戦のを久しぶりに確認する。
アクトはどうやってこの部屋に来れるかって?それなら簡単だ。例の訓練場から外につながる抜け穴を掘ったから。エインが掘ってくれた。じゃあなんでそこから抜け出さないのか。これはもっと簡単だ。抜け出すだけだったらずっと追われる身だから。ここで殺せばあの姫様に身分証を作成してもらえるからだ。
さてそろそろ作戦会議を始めるぞ。
「そうだな。まずはエイン。お前は何をするか覚えてるか?」
「え、えーっと...」
あー覚えてないなこりゃ。
「奴隷が監禁されている檻を片っ端から開けて回るんですよ。」
「そーそー!檻をな!開けるんだよな!」
フィールに小声で教えてもらい、思い出したようだ。こいつほんとに大丈夫か?
「あと、奴隷が抜け出せる出口も作るんだぞ。まぁいーや。他二人は覚えてるな。」
「はい。私はアクトさんと同じような体の人、けがをしている人たちを回復して回ります。」
ま、さすがだな。
「そうだ。今回の計画は奴隷解放にある。死にたいって言ったやつは俺たちの部下にする。アクトみたいにな。でもこいつほど使える奴はいないと思うからともに行動するやつとかはいないと思うけどな。」
で、ティーン。
「私はゼスのお供。」
「いや違うから。自信満々に言ってるけど違うから。ティーンは召喚魔法を使って一刻も早く奴隷にかけられている鎖を取り払い出口に案内してくれ。」
「あぁ。そうだった。間違えた。」
エインより心配になってきた。
「成功したらなんでも望みを聞いてやるから。一人一つ。俺にできること前提だけど。」
「おぉ~~!」
みんなの目が輝いている。これで失敗はなさそうだ。
「俺は何をしたらいい。」
アクトだ。そういえば何も言ってなかったっけ。
「お前は俺についてきてあの当主を驚かす。で、あいつ最近めちゃくちゃ強い護衛を雇いやがったからそいつの相手をしてもらおうと思う。」
「ま、まじで?あいつとやんのかよ~。」
「なんだ知ってんのか?」
「あまり俺を舐めないでほしいな。これでもちゃんと仕事してるつもりだぜ?そのぐらいの情報は持ってるよ。」
あぁ。こいつはできる奴だもんな。
「そいつは倒してしまっても構わないのか。」
「やれるに越したことはないが...やれるのか?」
「絶対とは言えないな。五分五分ってところだな。」
「無理はしなくていい。やばいと思ったら逃げろ。いいな。」
「りょーかい。」
「なぁゼス。ちょっといいか?」
「ん?エインか。なんだ?」
「奴隷を開放するのはすごくいいことだとは思うんだけど、そのあとは?解放されたとしても暮らすところも食べるものもないんじゃ、ここに奴隷としていたほうがいいと思うひとはたくさんいると思うんだけど?」
「あぁそうだな。その解決策を考えるのが今回の本題だ。よし。アクト、報告を。」
「あいよ。えーまずがガルディア王国のところだけど、ある程度仕事ができそうなら使用人で5人。雑用係などで50人。子供は孤児院に入れてくれるらしい。」
「55人か。あと40人ぐらいか。おそらくその中に俺の駒になってくれる奴が何人かいるだろうから、あと30人ぐらい。どうにかならないかな。」
「おい、おれさっきまずはって言っただろ。残り30人なら行き先があるぜ。」
「本当か!?どこだ?」
「ここだよ。」
「は?ここ?」
「ここの王様に相談して30人を傭兵やら使用人なりに使ってくれるみたいだ。」
ま、まじか。。驚きで言葉が出ない。こいつ思ってたよりすげぇ。
「お、王様に直接話したのか。そんなことどうやったんだよ。ていうかよく了承を得たもんだ。」
「まぁ忍び込んだだけだけど。交渉には自信があったしあの王様ここの当主好きじゃなかったらしい。さすがに殺すって言ったときは驚いてたけど。」
「へ、へぇ~...」
ここの当主どんだけ嫌われてんだよ。逆にかわいそうになってくるよ。まぁかわいそうだからと言って殺すのを躊躇するなんて絶対しないんだけど。
「じゃあ奴隷たちの行く先は安心だな。次に移ろう。」
ここからは作戦じゃなくて単に楽しむためだけに設けた時間なんだけど。
「アクト。どんぐらい持ってきた?」
「とりあえずお前には三冊。他の三人には二冊ずつだ。」
「お~~!早く見せてくれ!楽しみで昨日は失敗しそうになったからな。」
「何の話をしているのですか?」
フィールが聞いてくる。他の二人の頭の上にもはてなが浮かんでいる。
「本だよ。魔法とかこの世界のことについて書かれている。」
「本!?」
「そう。これからはーー」
「見たい見たい見たい‼どこ!?どこにあるの!」
俺の話を聞かずエインとフィールはテンションが上がっている。なのでちょっと威嚇してみた。
「おい。」
すると一同背筋を伸ばして指先までビシッとそろえてこちらを見た。
あれ?そんなに威圧したかな?まぁいいや。
「これからは俺がいない間の修業は本を読んで自分の強化をすること。自分に合った魔法やそれぞれの得意なことを研究して活かすんだ。で、今週の終わりにテストする。しっかりと準備しておくこと。俺との修業では自分の苦手な相手との戦いに備えて訓練する。例えばエインは魔法を使う遠距離攻撃が主体の相手は苦手だろ?そういう相手の対策を考えたり実践したりする。わかったな。じゃあ早く読みたいだろうから今日はここまで。アクト。本を持ってきてくれ。」
「おう。」
「ゼス。ちょっと。」
ティーンが裾をつかんできた。
「なんだ?ティーン。」
「新しいスタイルが出来た。ちょっと相手して。」
なに...!?ティーンが自ら俺と戦いに来るのは珍しい。
「お、おう。いいぞ。一応皆にも見てもらおうか。みんなちょっとだけ付き合ってくれ。本はそのあとだ。」
「「え~~!!」」
「珍しいティーンの頼みだちょっと見てやってくれ。」
「ティーンの頼みか。なら仕方ないな。」
「ですね。」
あれ、思ったより聞き分けがいいな。
「ごめん。ふたりとも。」
「いいよいいよ!ティーンの頼みだからな!」
「そうですよ。ティーンの頼みなら私たちもちゃんと待てます。」
あれ~?こんなに仲良かったっけ?あ!二人もティーンの可愛さに気づいたんだな!
そうだよな~。ティーン可愛いもんなぁ。
「ゼス。早くやろう。」
おっといけね。
「おぉ、悪い悪い。じゃあ行くか。」
「ん。」
次回、ティーンの新スタイルがわかります。
作戦立てた後なのに大丈夫かなぁ。。
ちょっと心配。