決意
「お母さん!お母さん!死んじゃやだよ!死なないで!」
泣きじゃくる一人の少年。
「夜一、、お父さんみたいに人の役に立ちなさい。お母さんは天国でずっと、夜一のこと見守っているからね。------」
母だ。思い出した。そうだ、俺には母がいたんだ。どーして忘れていたんだろう。このあと母はなんて言ったんだっけ。そこまでは思い出せない。でも、そうだ。俺はヒーローになるって言ったんだ。思い出してきた。あの頃の生活も。あの頃の楽しかった日々。あの頃の夢。これが神の力か。。。
プツッ、、、昔の記憶に浸っていた時、目の前が真っ暗になり、俺はまた神の部屋に意識が戻っていた。
「なんで、あの記憶が今まできえていたんだ?」
大事な記憶のはずなのに。なぜ、、、
「それはの、夜一くん。記憶を消されたんじゃ。誰かは知らんが。恐らく殺し屋集団のボスとかじゃないかの。」
「なぜだ。なぜ記憶を消す必要がある。」
「そこも覚えとらんのか。君には殺し屋としての素質があった。幼少期からな。だから消された。親の記憶があると殺しに影響がでかねんから。」
なぜこの神はそんなことまで知ってるんだ。と思いながらも納得はした。
「なるほど。その件については納得した。で、なぜか、俺の心に赤い炎みたいなものがある気がする。昔の記憶を見てからだ。これはなんだ?あんたなら知ってるんだろ?」
そう。俺の心の中に、小さいが確実にある。赤い炎。熱くはない。でも、温かい。なにか。
「それは、、あれじゃ。善の心じゃよ。核みたいな感じじゃ。それを壊されると、死ぬ。青にされると悪いヤツになる。人からの信頼や、感謝。そういったものが増えるにつれ、その炎は大きくなる。今、赤い炎があるということは、君に善の心があるということじゃ。異世界に転生するならそれを大事にしなさい。ここで死ぬというならわしがその炎を壊してやろう。選ぶのは君じゃ。わしは君には勇者のような存在になる資格が十分にあると思っておる。だから出来るなら君には異世界に転生して、人の役に立って欲しいんじゃ。どうする?行くか?死ぬか?」
さっきまでの俺なら迷わず死ぬ方を選んだだろう。でも記憶が戻ってから、赤い炎が燃え始めてから、揺らいでいる。勇者、か。俺にそんなのなれるわけが無い気もするけど、なりたい気もする。、、、って、何を悩む必要がある。一度揺らいだ時点でもう分かりきっている。
「俺は、、、殺し屋で、何人もの人を殺した。こんな俺に生きる資格はないと思う。だがもし、もし俺に償うチャンスがあるのなら。人を助けることで少しでも償えるのなら償いたい。神。俺は異世界転生をしようと思う。こんな俺でも人の役に立てるなら。俺は新しい命で人の役に立とうと思う。」
こうして俺の異世界生活が始まるのだった。