第6話 運があったり無かったり
本当にここ最近というか、今日は本当に謎なことばっかり起きている気しかしねぇんだけども...
なぜか、話したことのない人と喋ったり(俺は喋ってないか...)
謎のとんでもないほどの美少女とぶつかったり(俺からはぶつかってないか…)
その美少女がどんなものなのかは知らないが,同期の小宮山咲良と何らかの関係があり(俺は何も関係ないか…)
いや,俺結局何もしてないじゃん!
まあ,良いや。
一人脳内思考はこれくらいにしておいて,意識を小宮山と遥という名前の美少女の会話に向ける
「いやぁ、まさかのこんなところまた会うとは思わなかったね...咲良」
「はあ、本当にそうね...
まさか遥とこんなところで会うとは思わなかったわ…。」
「いやあ,全く状況がわからんのだが…」
そろそろちょっとくらい説明してもらえると嬉しいんですけどね...
「あ,そうですよね〜私と咲良去年まで同級生だったんですよ〜
同じ高校に通ってて」
「別にわざわざ言わなくてもいいのに...」
まあ、確かにここで言う必要もないよな。
それにしても小宮山って俺と同級生だったなんて初めて知った...
しかも,去年まで高校の同級生だったってことは二人とも今年で大学1年生,つまり俺と同級生ってことか…
小宮山は,結構大人びているから俺より先輩なのかと思ってた。
あと、小宮山の同級生で新人舞台女優(今さっきわかった情報)の遥って人ほんとに美人だなぁ...
肩のあたりまで真っ直ぐに伸びた黒髪。
やや、小作りの顔。
桜色の唇。
全てにおいて、これ以上ないくらいに整っている。
まあ、タイプは違うけども,小宮山咲良もそれと同じくらいに美人なんだけど。
あっ,ちなみに小宮山がかっこいい美人だとすると,遥という人は可愛い美人という感んじだ。
ほら,みんなただの美人っていうよりもどんなタイプの美人かもしりたいでしょう ?
知りたくないか。お呼びでないですね。はい。
そんな風に考えながら、二人の会話を聞いていると、さっき別れた雪村さんが帰ってくる。
「お疲れ〜」
「お疲れ様です。雪村さん。」
雪村さんの言葉に小宮山が応じる。
すると、雪村さんは満足そうな声音でとんでもないことを言う
「おう!あっ、遥とも会えたんだな!これで同じ事務所の同期3人勢揃いだなっ!」
「え!?」
その言葉に俺と小宮山そして、遥は揃って驚きの声を上げる。
さらに、小宮山に関してはそれだけは勘弁といった表情まで付いてきている。
「あれ?咲良と優馬には言ってなかったっけ?
この事」
「いや、全く...」
俺と小宮山は揃って否定する。
「まあ、良いじゃん良いじゃん。」
俺達の否定の声が想像以上にキツかったので、遥が、敢えてひょうきんな声でおどけて見せてくれている。微笑み付きで
美人が笑うとほんとに破壊力半端ないからやめて頂きたいです。
あれ?これなんか最近同じようなこと思ったことがある気がする。
まあいいや。
すると、雪村さんが
「じゃあなんだかんだで、既にお互い知ってると思うけど紹介しといた方が良いのかな?」
「全く知らないので是非。」
なんなら、遥という、美少女のフルネームすら知らないまである。
「じゃあ、一応。彼女は逢沢遥。
大学1年生で、今年からうちの事務所に入った新人舞台女優。
優馬と咲良と遥。この3人が今年入った同期って事になるなぁ」
「へぇ、平坂優馬君って言うんだ。
これからよろしくお願いしますねー!」
そういいながら、彼女が手を差しのべ,握手を交わす。
「よろしくお願いします。」
「あっ,私は敬語使わなくても。同期なんだし。」
「おう,そうか。じゃあ,遠慮なく。」
こうして,俺にまた敬語を使わなくていい人が増えた。
「そういえば,君の事なんて呼んだらいいのかな?」
「別に何でもいいけど」
「じゃあ,優馬君で」
名前呼びですか…
そんな風な雰囲気を気づかないうちに醸し出してしまっていたのか
逢沢は上目遣いで
「ダメかな?」
名前で呼ばれるのはいいんですよ…
何がいけないって,あなたみたいな美人が,上目遣いで男子を見ることなんですよ。
本当に,こういう行動にこれまで何人の男子が騙されて,勘違いし、一生消えない傷を負ってきたことか。
まあ,そんなことはとりあえず置いておき別に呼ばれかたは本当にどうでもよかったので
「いや,別に」
と答えると
「よかった。じゃあ,優馬君って呼ばしてもらうね」
「おう。」
そういや,今まで親以外に名前で呼ばれたことって無かったな。
一人,脳内思考に戻っていると
「おう,なかなかお前もまともに話せるように話せるようになっているじゃないか。お兄さん嬉しいぞ!」
と雪村さん。
「冗談じゃないですよ。俺は昔も今も変わらず人とのコミュニケーションができない種族ですよ。」
「コミュニケーションができないってそんな種族なのよ?」
とさっきから少しだけ,存在感を落としていた小宮山が口を開く。
まあ、相変わらずテンションは低いままだけども。
「ほら,お前の目の前に具体例がいるじゃねえか,ほら俺が。」
「別にそこまで卑屈になる必要はない気はするけども…
まあ,どうでもいいわ。」
いや,どうでもいいなら聞かないでいただきたいんですが…
ほら,色々な黒歴史を思い出してしまうし…
例えばほら昼飯の時間には…いや,やめておこう。だって俺の黒歴史公開すると,周りの雰囲気まで黒くなって黒歴史公開ということ自体が黒歴史になってしまいかねないからな。
それにしても,小宮山と逢沢って同級生だったのに、再会を懐かしむどころかお互い避けている気がするんだけれども。
その証拠に挨拶も
「あっもちろん咲良もよろしく…昔のことは忘れて仲良くしようね」
「…うん。」
だったし
いや,避けているだけならば,よくあることだけどね。
ほら,俺なんて高校時代の同級生全員の事避けてるし、避けられているし。
でもあいつらはお互い避けているというよりは気まずくて相手と目を合わせられないみたいな感じだ。
特に小宮山は逢沢と過去に何かあったのか,気まずい雰囲気を全面に醸し出してしまっている。
少し心配だなあ,主に挨拶回りの時とか小宮山とか逢沢がやってくれないと俺は何も喋る気ないし…
本当に大丈夫か!?俺一人じゃ何もできんぞ!
まあ,いいや。なんとかなるだろう
それにしても今年に入ってからの俺は運があったりなかったりだなあ。
ほら,舞台俳優の世界に入って一瞬で超絶二少女とおんなじ事務所になれたのに,その二人の関係がなぜかギクシャク。
いや,本当になんでだよ…
まあ,小宮山にとっての逢沢,逢沢にとっての小宮山は切っても切れない縁がある人ってとこか。
いるよね,縁が切れそうできれない人。
ただ,全ては憶測でしかない。
たった一つ真実を挙げるとするなら俺は彼女たちのことを何もしらない。
それだけは間違いのないことだ