羨望JEALOUSNESS 秘密の人 5
目を瞑り、わずかに口を開く優斗さん。
「ん・・・ぁ」
それをOKの合図だと、わざと思い込んで
水を口に含む。
そして、優斗さんに口付けた。
「ん・・・」
「・・・んっ、ん・・・」
水は優斗さんに移る。
優斗さんが何度も喉を上下させた。
「・・・・・・!」
離れようとしたけど、離れられなかった。
優斗さんの舌が・・・入り込んできたから。
「ん・・・ぐ、っう・・・」
「ん、ん・・・ぁふ・・・っ」
それは、水分をすべて吸い取るかのように、
俺の舌に絡みつく。
頭の奥が、痺れる。
・・・けど、
「っは・・・、ちょっと待って、優斗さん」
「は・・・ぁ」
無理やり離れる。
そしてもう一度水を口に含んで、すぐに口付けた。
さっきと同じように、優斗さんは喉を揺らした。
何度か繰り返すと・・・
優斗さんは満足したのか、再び眠りに落ちる。
「・・・ったく」
本当は、今すぐにでも抱きたかった。
だって優斗さんが俺のベッドで眠っているなんて、二度とないシチュエーションだから。
でもそれは、優斗さんが酔っていなかったらの話。
酔った勢いで、なんて嫌だから。
俺のことを好きになってもらって、俺に身をまかせてもらいたいから。
でもそれは、いつになるんだろうか。
『あんたも、俺のことが好きだって・・・思ってもいい?』
『え、っと・・・・・・わかんない』
わかんない、が、好き、になるまで。
俺は待つつもりだ。ずっと。
「優斗さん」
頬に触れる。
柔らかくて、すべすべだった。
優斗さんは10歳の年の差を気にしているようだけど、
俺はそんなこと、まったく気にしない。
優斗さんがいくつであっても、
俺はこの人が・・・好きだから。
優斗さんの頬に、軽く口付ける。
俺がこんなに思ってること、
優斗さんは知らないんだろうな。
「・・・ご、ごめんなさい」
「ったく」
次の日、起きた優斗さんは突然頭を抑えだした。
俗に言う、二日酔いというものらしい。
「水、飲む?」
「あ、うん。いただきます」
水を渡すと、優斗さんは一気に飲み干した。
「ふふっ」
「・・・なんですか?榛名くん」
「いや、昨日のあんたを思い出して。あんた昨日――」
そこまで言いかけて、我にかえる。
いや、言わないでおこう。
昨日のような積極的な優斗さんは、
俺だけが知っていればいいんだから。
俺しか知らない、優斗さんの秘密。
「・・・なんでもない」
優斗さんは不思議そうな顔をしながら、
コップをぎゅっと握っていた。