羨望JEALOUSNESS 秘密の人 4
優斗さんをタクシーに乗せ、家まで連れ帰る。
その間、優斗さんが目を覚ますことはなかった。
赤い顔をして、すーすーと寝息を立てている。
家に着いて、部屋に入って、ベッドに降ろす。
それでも優斗さんは眠ったままだ。
二人きりになったんだし、
そろそろ起きてもいいんじゃないか。
「優斗さん」
耳元で囁いてみる。
だけど、やっぱり目を覚まさなかった。
「優斗さん」
「ん・・・っ」
もう一度囁くと、優斗さんが身じろぎをする。
唇が少しだけ開いて、息が漏れた。
「・・・・・・ぅ」
「優斗さん?」
何か言ってる?
「ん・・・み、ず・・・・・・欲し」
「水?」
どうやら、喉が渇いているらしい。
典型的な酔っ払いになったようだ。
仕方なくキッチンへ行って水を取ってくる。
けど、そこでひとつの疑問を抱いた。
どうやって飲ませる?
起こしても起きないだろうし、このままコップから注げば零れる。
となると、方法はひとつしかなくなる。
けど・・・
『こいつが傷つくことはするな』
店長のどすの利いた声が、頭に響く。
ということは逆に、
優斗さんが傷つかなければ、何をしてもいいんだ。
俺は指を濡らしてからベッドに戻り、
優斗さんの唇を軽くなぞった。
「ふぁ・・・ん、っ、っ・・・」
必死に唇を舐める優斗さん。
本当に喉が渇いているんだ。
唇についた水さえも欲しがるほどに。
「・・・ぁ」
うっすらと、
優斗さんの目が開いた。
顔を赤くして、ぼんやりした目で俺を見つめている。
唇からは熱い吐息。
そんな気はほとんどなかったのに、
触れたく、なった。
「優斗さん、水・・・欲しい?」
「あ・・・ほ、し・・・」
だめだ、こんな優斗さんを目の当たりにしたら、
理性が・・・保てない。
ゆっくりと、唇を耳に近づける。
そして・・・
「俺が飲ませるけど・・・・・・いい?」
優しく訊ねた。