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紅蓮の華

14:06:39


 長い月日を重ねたであろう、立派な巨木を放射状に倒し、それをなしたであろう存在は中心に座していた。身体を覆う鱗は一枚一枚が青白く透明度の高い氷であり、全長は10mほどはあるだろうか。


頭からしっぽまでであればなおさらだろう。その四肢は薙ぎ倒された木々よりさらに一回りも二回りも大きく、その巨躯を支えるに相応しい。


 だが何より目が引き付けられるのはその目である。


瞳孔が鋭いその目は紅く染まっており、目の前にいる存在を“獲物“とすら思っていない。


ーーーただ排除するのみ。


 ニクスは無意識に【生物鑑定】を使った。【動物鑑定】と【植物鑑定】を覚えて熟練度を上げることで覚える、それぞれの力を併せ持ち、且つより詳細な情報を得ることができるスキルだ。


 ただしそうは言っても[鑑定士]の中期スキルにすぎず、【魔物鑑定】のように対象のステータスや弱点などを知ることができるわけでもないのでそうそう使うことはない。


 今、それを使ったのは他でもない。竜という存在が魔物ではないからだ。


☆種族名:ノルザール・ブレゼスト・ドラグノル


☆生息地:不明


☆気性 :強大な力を持つが故に細かいことに興味はない。それをおおらかというか傲慢ととるかは判断が別れる


☆好み :冷所


☆特技 :竜はそれぞれに得意な属性を持ち、その属性を帯びた純魔力を自在に操ることが可能。中でも各属性を帯びた【ブレス】は魔法とも闘気とも異なり、防ぐことが難しい。


☆備考 :かつては魔物の一種と呼ばれていたが、多くの考察により魔物とは違うとされている。一説によると、強大な力を持つ神々が、世界を監視・保護するために生み出した幻想生物まほうせいぶつであるという。


 世界の魔素の循環、世界の歪みの修復など世界を安定させるために強大な力を与えられており、“神の目 神の手 神の耳“と人々に畏敬の念を持たれている。最もその存在を実際に見た者はほとんどいない。




 ……間違いなく竜であった。


ゲーム時代の命名システムを使って名前がつけられているのは“特異固体“ーーー普通は魔物に適応されるルールだったがーーーである。


日本語にするなら雹竜、それも“ノルザール“、北を意味する極冠を持っていたのだ。


 思わず息が詰まったのも無理はなかったが、それは余りにも無防備に過ぎた。


 視界が一瞬で真っ白に染まる。


 戦いはせーの、で始まらず、


  【ブレス】に溜めは必要なく、


   竜におおらかさなどかけらもない。


 その結論が目前に迫る死そのものであった。


凍気は竜から一直線にニクスへと向かう。


 ニクスは思わず目を閉じてしまった。

戦闘中にしてはならないことであったが、本能的に悟ってしまった。自分の張っている結界は【ブレス】を遮るには魔力を全て込めても不可能だと。


 元々結界は魔力を余り込めず薄く張り、相手の攻撃を一瞬足止めし、その隙にかわすというのが主な使われ方だったのだ。


 だが、この【ブレス】は範囲も広く、かわしきれないといやがおうにも理解させられた。

時間がゆっくりと流れる。


「?」


 いくらなんでも遅すぎると思い目を開けたニクスの視界を何かが遮っていた。この場でニクスの味方など他になく、何よりニクスが見間違うことはない。


「……タキタテっ!」


 いつもご機嫌に振られているしっぽはもちろん全身がクリスタルに覆われた剥製のように固まっていた。


 他のものなど目にも入らない様でタキタテに縋り付くと、その手は灼けるほどに冷たく、皮膚が裂けるのも構わず抱きしめる。手のひらや頬から紅い血が流れ、それすらも瞬時に固まってしまう。


「タキタテ!タキタテェ!」


 さながら紅蓮の地獄のような空間にニクスの泣き声だけが響いていた。

 こんにちは、いつもご覧いただきありがとうございます。


 どこできるかなど悩んだ結果、遅くなったのと短めになってしまいました。続きは今週の早いうちに更新したいと思います。申し訳ありません。



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