門番と少女
おはようございます、ご覧頂きありがとうございます。
誤操作により一度真っ白になったときは自分の頭の中が反映されたのかと思いました。
何とか書き直したのですが、不思議と前と同じにはなりません。
00:59:37
タキタテと別れて街へと近づくにつれてその異様が明らかになってくる。目視で正確に測ることは難しいが10mはあるだろう壁で、何より丈夫さを優先したと思われる石を積み上げた様は重厚感を漂わせており、自然とこの街に手を出そうなどとは思わなくなるだろう。
……相手が人間だったならば。
これは魔物を想定して造られたものだ。人間より遥かに身体能力で勝る魔物の跳躍に対抗するために壁は高くなり、見張りの戦士も数多くあくびをしている者もいない。なるほど、流石は戦士の国、戦士の街というわけだ。
「こんにちは、おじさん。この街がプルーヴィで合っていますか?」
壁から見下ろされるような圧迫感の中、門を守る兵士にニクスは声をかけた。魔物から門を守る役目を帯びているだけはあり、鎧で隠されていてもその肉体の屈強さは感じられる。そして隠しもしていない傷を無数に持つこわもてな顔ニクスが外見通りの少女であったなら泣き出してしまってもおかしくはない。
「……いや、違う」
低い声は魔物のうなり声のようだ。
ニクスは一瞬眉をひそめた。せっかく着いたと思ったら目的地ではないと言われてしまったのだ。しかし、タキタテの足で3時間以上離れた先の街の方角を正確に指せる方がおかしいというものだ。むしろ街にたどり着けただけマシである。場所を聞けばいいのだから。道中何もなく、走り続けていたらと思えば遥かにマシだった。
「……それではプルー」
「俺はまだ23だ!おじさんじゃない!!」
改めて場所を問おうとしたニクスを遮って門番の兵士が吠えた。ポカンと口を開けたままだったニクス。
「そ、それは失礼。逞しいお兄さん(・・・・)、改めてここはプルーヴィでいいのかな?」
すると、荒々しく笑った男が、
「そうだ。ところでお嬢ちゃん、ご両親や家族、または護衛なんかは一緒じゃないのか?」
と尋ねる。それも無理はない。帝国は尚武の国、だがそれは武器を持ち戦う戦士たちしかいないというわけではなく優れた魔法使いも数多くいる。
だから、軽装であってもおかしくはないが、ニクスは旅の荷物もなく、防御力などまるでないただの服であり、少女にしか見えない。
また、帝国はそのお国柄上、屈強な者が多いがそれでも死者も多い。そのためもあって、自分のかに関わらず子供は大事にされるのだ。
となればニクスを見た門番が訝しがるのは当然の結果だった。
「家族は外で待ってるよ。私だけ用事があってちょっとだけ立ち寄ったんだ」
「そうだとしても、一人で寄越すってのは感心しないな……」
男にも思うところがあるのだろう、眉間にシワを寄せると一気に迫力が増す。一方でニクスはやはりもうちょっと大人っぽい外見にしておけばよかったと後悔していた。最もゲーム時代はこの外見で買い物でおまけしてもらったりと、得をしたことも多いのだが。
「ともかく、私を街に入れてくれるのかな?」
都合の悪いことをうやむやにしようと畳みかけるニクス、基本はごり押しであった。
「ああ、ようこそプルーヴィへ! ……と、言いたいところ何だがな、今ちょっとごたごたしていてな。用が済んだら早めに他の街に移った方が賢明かもしれん」
門番は自分の街に対してそう言わざるを得ないことが悔しくて仕方ないようで、その表情を歪めていた。
……だから、普通の子供だったら泣き出しちゃうよ?
「大丈夫、そのために私が来たんだから」
そう言いながら通り過ぎるニクス。
彼女は帝国の人間は戦闘民族で野蛮な者たちだと偏見をもっていた。いや、概ねその通りだったけれど、サッパリとしていて人柄は良い者が多い。少しずつ気に入り始めていた。なんせ、ニクス自身似たようなタイプだったので。
ニクスの発言を聞いて門番は振り返ったが、そこにニクスの姿はすでになかったのである。
門番A「やっぱこんなところに住んでるとさ、身近な女性って逞しい子ばっかりだろ?それが悪いってわけじゃないんだけど、ああいう俺が守ってあげなきゃってのも良いよな」
門番B「おいおい、ロリコンかよ!衛兵さん、コイツです」
門番C「お前も衛兵だろ」
そんな会話が城壁の見張りたちの間であったとかなかったとか。




