表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/200

閑話 白くて伸びる柔らかいやつ

 四国にバラけた真人プレイヤーたちは偏りがあったため、当然攻略具合にも差があった。具体的には王国方面が8~9割、帝国方面が6割、農商国が5割、崇神国が3割といったところだと言われていた。

それ故に未開の地にお米があるというのがプレイヤーたちの総意だった。というのも農商国ではカレー、正確にはその元となるスパイスが採れ、食べられていたからだ。


 但し、その際供されていたのはナンだった。パン食の文化と言ってしまえばそれまでだが、カレーと言えばライスでしょというプレイヤーも多かった。運営も人の子ならわかっているはず……、そんな思いを抱くプレイヤーは多かった。


 だがしかし、住み慣れた拠点を移すことへの躊躇い、もしくは米がある、と言われたのが崇神国であったがゆえの忌避だったのか、結局ゲームが終了するまでに見つかることはなかったのである。これには運営に避難の声が多く寄せられた。

 運営からすれば、日本人のお米への情熱を考えて入手難度を上げても平気だろうと思っていたのだ。


 


 ゲーム時代と同じ世界感なのか似ているだけなのかわからなかったが、とまれ500年経ってもお米は食べられていなかった。ましてやもちごめともなると入手は難しいだろう。


 片手間に作っていたローストポーク(タキタテが捕ってきたロケット猪の肉)をタキタテたちにあげながらも心ここにあらず、である。こっこさんやぎゅ~ころたちはよくわからないがご馳走に夢中になっている。

その名に恥じず鍛えられた肉はそれでいて堅すぎずとろける食感に仕上がっていた。醤油があればもっと美味しく作れるのにと言うのがニクスの最近の悩みだ。

 いつもよりちょっと豪華な料理を食べる。しかし、どこか正月だ、と言う実感が沸かない。


「ニクス様、どうかなさったんですか?美味しく出来ていると思いますが?」


 心配したメェテルに声をかけられる。但し、メェテルはなんというか、美味しいの範囲が広いので、彼女の感想は鵜呑みにできない。【人化】を覚えたことの悪影響らしい。


「ちょっとねぇ、食べたいものがあるんだけど見つからなくてさ。」


 一心不乱にモシャってたぎゅ~ころたちが一斉に口をとめ、ニクスの方へと視線を向ける。ニクスは視線に晒されてちょっとビビっていた。


「ニクス様、それはいったい……?」


 恐る恐る、メェテルが尋ねる。


「えっと、“餅“って言って白くて伸びて柔らかい?」


 ニクスの説明は酷かった。


 ジーニャ以外の面々が必死に思考を巡らせる。


“ニクスの望むものを持ってこればきっと褒めてもらえる“


 一同の心が一致した瞬間だった。

もっともそれぞれにとってお互いはライバルに過ぎないが。


 一斉に固まった家族たちに思わずクスリと笑ってしまうニクス。


 その後、いつもとは違い牧場の敷地外へと向かうぎゅ~ころたちの姿が見られた。そして響く魔物たちの悲鳴。

 ニクスがお昼寝を終えて目を覚ますと、屋敷前に並べられた数々の素材。

どれも一様に白く柔らかい。だが“伸びる“という条件は難しかったようだ。


 白い花や魔物などが置かれ期待の目でこちらを見ている家族たちに困ったナァと思いつつも嬉しく思ったニクスは彼らを丁寧にブラッシングしてあげたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ