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極冠

 頬を撫でるくすぐったさに目が覚める。最もまぶたは重く、まだ上がらないのだが。靄のかかった頭でまたジーニャかな?と考えすぐに否定する。お腹の上の重みがそこにねこまんじゅうがあることを主張していたからだ。最近のジーニャは外気を避けると同時に、ニクスの苦痛を薪に温もりを得ていたのだ。


 であればこれはなんぞとようやく開いた目が捉えたのはすぅすぅと寝息をたてる美女である。一気に頭が覚醒した。安心しきった寝顔と朝日を照り返す朱金の柔毛。これがいわゆる朝チュンってやつかなどと思いながら覗き込んでいると、んんっと声がして口が形を変える。目に楽しいが、寝起きの心臓への負担はでかいのであった。

メェテルの上で寝る(深い意味はない)ことはあっても一緒に寝たことはなかったので新鮮な光景だった。


 しかし、はっきりとしてきた頭が違和感を訴える。


    ーーー朱金?


 メェテルの髪は淡い金色だったはずである。夏……活性期の西日ならともかく、朝日でこんな色になるはずがないのだ。家族と思っているメェテルたちを、テイム扱いとは言っても勝手にステータスを見ることはしない。一言尋ねてからがマナーだと思っているニクスである。

だが、健康面の問題もなきにしもあらずの状況を思えば、慌てたのも無理はない。テイムした魔物のステータスはスキル無しでも見ることが可能だ。


     体調:優良


 の項目にまずは安堵したニクスは上から項目を順に見ていき、すぐに目を大きく見開くことになる。


     種族名:アウストル・ディープ・スリープ・シープ


 なんと、昨晩の内に進化していたのであった。だが驚いたのはそれだけだったからではない。


  ーーーアウストル。


 聖河の一つと同じくするこの名前は極冠きょっかんと言う。この世界はーーー少なくともゲームだった頃はーーー、一枚絵の地図の世界だった。要するに球ではなく東と西が重なることはなかったのである。故に各方向の果てを“極“と言ったのだ。


 そしてその名を頭につける魔物が時折現れる。それは元になった魔物とは隔絶の違いを見せるのだ。ゲームではその条件は不明だった。いや、現在においても謎である。西方に位置する牧場において東冠がつく時点で意味がわからない。


 ともかく、神獣が最高と言われる[召喚師]の壁とされるのが極冠獣なのだ。なんせ条件が全くわからないので。


 呆然としているニクスの瞳には満足げなメェテルの寝顔が映っていた。

 先週は諸事情により全然更新したり読んだりできませんでした。申し訳ありません。

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