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人生50年の10倍だもんなぁ

 牧場(家)に【転移】で帰ると、タキタテを除くメンツが揃っていた。

しかし、どうにも“出迎え“という雰囲気ではなかった。


「……メェテル?何かあっ」


「ニクス様は!やっぱり同族(人間)と一緒にいる方がいいのですか!?」


 俯いたメェテルが叫んだ。

スレッジハンマーで後頭部を殴られたような衝撃を受けた。


 日頃より、メェテルがニクスの言葉に被せるようにものを言うことはない。基本聞くことを優先するのだ。

だから声の震えと、被せてきたという事実が一層メェテルの言葉に重みを与えていた。


「……そんな風に感じていたのか?」


 かろうじて出た言葉はそんなものだった。返答はなかったが、ビクッと強張った身体と飲み込んだ息の音が何よりも雄弁に語っていた。


 誰も声を発せず、静寂が続き、


「みんなのご飯をお願い」


 それだけをなんとか口にして、ニクスはその場を後にした。



 自分の部屋に入るなり、ベッドへと倒れ込む。ゲームだった時代に職人に作ってもらった品であり、あの頃はただのこだわり以外のものはなかったが、現実になった今では非常によく出来ていることがわかる。

それでも、メェテルに慣れた今となっては物足りなく感じる。


 確かに城に行く機会は増えていた。

フローレアたちとのくだらない話が楽しいのは否定できない。それでもぎゅ~ころたちを蔑ろにしていたつもりはなかった。だが、ぎゅ~ころたちの表情を見ればわかってしまった。彼らなりに我慢していたのだ。


 ゴロリと転がって仰向けになる。頭の後ろで手を組む。

明かりをとるために透かしてある天井を通して月が見える。三日月と、欠けた部分に収まる丸い月。菫のいた世界とは違うことをまざまざと突きつけている。


 

 ニクスと一つになってこの世界で目が覚めた日、ゲームのサービスが終了したところまでを思い出した私は気づいたら複数の男たちに囲まれていた。

彼らは薄汚れていて、据えた臭いが鼻につき、目だけが怪しく光っていた。

声をかけられたが、恐怖しか感じずがむしゃらに逃げた。

おそらくはスラムの人間だったのだろう。振り返ってみればあんな路地裏でそれなりの格好をしていたのだから無理はない。


 ニクスの容姿になったからといってゲームと現実は違った。どうしたらいいのかわからなかった菫は貴族だと言う男に無理矢理馬車に引き込まれた。

必死になって抵抗した結果として、容姿だけでなく、能力も引き継いでいることがわかった。そうとわかってようやく少し落ち着いたニクス(菫)は自身の能力について確認していった。

“ニクス“の覚えていたスキルはすべて覚えていた。次元倉庫の使い方がわかって中を漁ればおそらく“ニクス“の持っていたものは全てあるのだろうと思った。お金だって腐るほどあったし、持っていた素材を売り払ったってよかった。

もし売っていたらひどい騒ぎになっていただろう。


 割と高めの宿に連泊し始めたニクス。どうやらゲームだったころからおおよそ500年経っているらしいことを知った。寝て起きて王都を見て周り好きなものを食べて寝る。“菫“は自堕落な生活を満喫していた


  気になっていた。


 本当はどこかで望んでいたのはこんなものじゃないと心の声が聞こえていた。思えばあれは“ニクス“が呼びかけていたのかもしれない。


 そしてそんな日々がしばらく続いて、このままじゃ駄目だと思った。

“ニクス“はただのアバター、そんな風には思えなくなって久しい。

“私“は“ニクス“に顔向けできない生き方はできない、したくない。菫はそう思った。


 急に宿周りが騒がしくなる。複数の人間が隊をなして駆ける音に怒鳴り声。[斥候]の【遠耳】を使えば、


「貴族様に暴力をふるい、逃げた娘がいる。このような娘を知らぬか?」


 自分じゃない可能性もあるが、その可能性に身を任せるのは思考放棄、自殺行為だ。さっきまでの自分だったらどうかわからないが。


 宿の主人には前金で十分な、むしろ余分に支払っていたし、荷物なんて全部次元倉庫の中だ。

借りた部屋は宿の3階に位置していた。窓から見下ろせばゲームだった時代の都をただ延命を続けてきただけに思える。


 ーーー500年の歳月、当時の面影はあるが、輝きはない。いっそ綺麗に無くなってくれていたらよかったとさえ思った。


 “菫“の知る王国はもう自分の記憶の中にあるだけだ。


夢幻の如くなりーーー。


 窓枠に足を駆けると隣の家の屋根に飛び移る。身体が軽い、空も飛べそうだと思った。背後から怒鳴り声が聞こえてきたがニクス(菫)の枷にはならなかった。


 ついには都を囲む城壁さえも飛び越えてニクスは魔物が蔓延る未開地へと飛び出したのだった。



 それからはいろいろあったが、一緒に時間を過ごした家族たちだ。


「……比べるまでもないか。フローレアには悪いけど断りを入れて、ちょっとしたことなら手伝ってあげるくらいでいいよな」


 小さな部屋にぽつりと声が響いた。

 少し体調を崩して、頭痛いです(T_T)

本年も残すところ2月を切り、忙しくなっているかと思いますが皆様も体調におきをつけ下さいませ。

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