表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/200

閑話 二人だけの戦争(戦い)

 皆様、いつもご覧いただきありがとうございます。

BMに評価をくださった方々もありがとうございます。


 総合評価200pt突破に感謝して閑話を書いてみました。本編より長い……? 


ちっちゃいことーは気にすんな!


帰還 の話の前後、牧場ではどうだったのかです。


楽しんでいただければ幸です。

 1点を凝視する魔物たち、その眼光鋭く、集中力は凄まじかった。

ニクスがメェテルに送り出されて王都へ再訪してから半日後、非常に緊迫した空気が牧場内に張り詰めていた。



 

 ぎゅ~ころやこっこさんにジーニャは、その日の朝、メェテルからニクスが出かけたことを知らされる。その時点で彼らは心なしか不機嫌そうになる。


「ニクス様が戻られて困らないよう、いつも通りやるべきことをしましょう」


 メェテルがそう言うと、ニクスの名前を出されたら引くわけにはいかないと行動を開始する。最も、錬金術が使えないので、メェテルが手仕事でぎゅ~ころのお乳を搾り、獣舎の掃除をする。いつもはニクスが作業しやすいよう、自発的に動く彼らもニクスがいないとやる気を出さない。


 いろんな意味でニクスがいないとこれほど手間がかかるのかと考えさせられるメェテルであった。


 ブラシがけはニクスからでないと嫌がられて、朝食の準備をする。牧場の作業も調理も手際が良いメェテル。テキパキと仕事を片付けていくのだが、もう既に疲労を感じていた。


 ジーニャにいつものと違う平皿にモーミルを注ぐと、いつものじゃないと嫌だとごねられ、渋りながらもピチャピチャと舐めるように飲んでくれたかと思うと手を引っ掛けてこぼしてしまう。皿が軽すぎたようだ。


 朝食が終わると、エルフの里へと出かける。

もっとも許可を得て転移装置(使用者制限有り)を置かせてもらっているので、移動の負担はない。エルフ特製のチーズや香草、工芸品などとモーミルを交換したりする。そこまではいいのだが、エルフの長老たちに結婚を勧められたりセクハラ発言をされて気苦労が多いのだ。


 そして牧場へと帰って来るころにはお昼で、食事の準備をする。やはりテキパキとオムライスを作る。特製のフライパンで10人前くらいを一度に作る。魔物は何でも食べるので全員同じメニューだ。手際よく、とは言え量が量なので1時間ほどかけて作ると配膳する。


       「「 いただきます 」」


 いつもより一人分少ない“いただきます“とぎゅ~ころたちの衝撃波が放たれ、一口目を口に入れ、

   

    メェテル以外が固まった。


 ぎゅ~ころの口の端からは朱色のご飯がポロリとこぼれ落ちる。今回は甘かったらしい。チキンライス、ナンデ?



 ニクスは食材となったものに感謝せよと言い聞かせていた。“いただきます“と“ごちそうさま“、“お残しは許しまへんでー“は厳しく言っている。

普段はニクスの作るご飯でウマウマなので、自然とありがたやーで残すことなどありえないのでほとんど意味のない言い分だったのだが、この時初めてぎゅ~ころたちは涙を流しながら完食した。


 タキタテだけは、メェテルの苦労をよくわかっているので、平然と食べて感謝の意を込めてメェテルに擦り寄っていた。


 皆完食したものの、それから不機嫌になった。メェテルが何を言っても最早言うことを聞かずに一点をにらんでいた。

食休みにゴロリとしているタキタテの側を囲むようにして、だ。


 見つめる先は牧場の片隅。


 【転移】スキルは、転移先を押しのけるタイプではなく、転移先に妨げとなるものが無ければ発動、さもなくばミスする仕様だ。


   “※いしのなかにいる※“


 ということにはならない安全仕様である。

そのため、一画に転移専用スペースが設けられていた。


 “帰って来たら、タキタテが真っ先に気づく“


 がぎゅ~ころたちの共通認識で、一流の狩人のように獲物ニクスが現れるのを待つぎゅ~ころたち。実に3時間以上の耐久を強いられたのだった。



☆★☆★ タキタテ サイド ★☆★


 自分の周りに集まるぎゅ~ころたちを見て、これは危険だと判断する。ぱっと見ではゴロリとした体勢でちらりと目を向けただけだったが、彼らの行動を推測して、どうすべきかを考える。


 ぎゅ~ころたちは気が張っている。張りすぎている。ニクスが帰ってきたら手加減する気もなく突っ込むだろう。


 タキタテは知っていた。


   “人間はひどく脆い“


 ニクスは少し丈夫だけれど、大差はない。

ニクスと一緒にいるためにまず必死で手加減を覚えたタキタテである。


 手加減と手抜きは似ているようでまるで別物だ。タキタテは手加減を覚えたことで必要な分だけ力を出すことが出来るようになり、無駄もなくなり一段階強くなった。


 ぎゅ~ころたちに同じことはできない。

きっとニクスに怪我を負わせてしまうだろうし、そうなればぎゅ~ころたちも悲しい思いをするだろう。

ニクスを守るのが己の役目。

ニクスを取り巻く環境まで守り切らねばならぬ…。


 一見相変わらずだらりとしていたタキタテだったがそれはいつでも動き出せるよう、無駄な力を込めていない弛緩させた結果だった。


 

 夕方目前になり、暗くなりはじめる間際ニクスが帰還した。まだ転移しきっていない前兆に反応したタキタテの毛が逆立つ。

その瞬間にタキタテが飛び出した。

残像を置き去りにする超加速。

質量ソニックブームをもった残像だというのか。


  最高速に至った瞬間に全力で減速する。


慣性により恐ろしいまでの力がタキタテを襲うもしなやかでありながら強靭な肉体は耐えきり、運動エネルギーを殺しきってニクスと接触地に押し倒すと、四肢を突っ張って衝撃に備えた。


 タキタテがニクスを独占しようとしているとでも思ったのかぎゅ~ころやこっこさんが怒気を具現化するかのように突っ込んできた。


 タキタテから遅れること数10秒、ぎゅ~ころたちの突進を真っ正面から受け止めるタキタテ。遮るつもりかと力むぎゅ~ころたち。

ピョンと飛んだジーニャは問題なし。


 完全に威力を押し止めた後で、ぎゅ~ころたちをニクスの元へと歩み寄らせる。

ようやく全身の力を抜いたタキタテに、


「お疲れ」


 と声がかけられた。

タキタテにしては珍しく気がつかなかった。

それは一人だけ冷静だったメェテル。

どうやら自分の行動の意味を理解してくれたようだ。タキタテの伸ばした手に、メェテルも恐々手を伸ばしてハイタッチ。


「これが……テイハンパツ?」


 とメェテルが呟いた声は誰の耳にも届かなかった。


 それぞれが別々の理由で疲れていたため、気が緩むと皆眠ってしまった。

皆の寝息を聞きながら、タキタテは目をパチリと開き穏やかな表情をした。


 そして彼らを守るために今夜も見張りを行うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ