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それぞれの日々

 人類の生存圏が狭かったとは言え、町や村へと向かう隊を組織し、向かわせるのに2日かかった。通達だけなら兵士に文をもたせて単騎で駆けさせれば済む。


 しかし、


「それぞれの村人達に歩いて来させるのはかわいそうじゃない?何よりフローレアの姿を見てもらいたいじゃん?」


 というニクスの発言を無碍にもできず、なおかつ納得できるものだったから、通達用の先触れの兵士をまず向かわせ、要件を伝えさせると同時に準備しておいた兵士の輸送用の馬車を向かわせることになっている。


 移動に時間がかかる分、城から遠い村から優先するようになどニクスの忠告は実に的を得たものだった。それがなかったらもっと時間がかかっただろう。もしかしたら間に合わなかったかもしれない。


 城から続々と出ていく兵士と馬車に王都は一時大騒ぎになり、説明し鎮静化したのも兵士たちだった。



 一方で王宮内。

 平常通りの業務を行いながら、スタットたちの後始末。そしてお披露目の準備にと誰もが披露困憊であった。


 

 だが誰よりも忙しかったのはテュエール宰相である。文官のとりまとめ、決して頭が悪いとかそういうことはない、むしろ賢いくらいだが、如何せん経験不足のフローレアの支援と同時に王国のことについての教授とやることは多い。一人でこなしていることが奇跡的ですらあった。


 一方でニクスは初日で城の補修を終えてしまい、城内もついでに見て廻ったもののひたすら暇で中庭弄りにせいをだしていた。


 【召喚】スキルを使い、使役精霊を呼び出してゴミを拾わせ、【属性魔法:ウインドカッター】と【属性魔法:グラウンドマニュピレーター】を使い、手慣れた様子で整地すると、建築士のスキル【レンガ作成】【レンガ製品作成】スキルを駆使する花壇を【再生】で設置したり、周囲の魔力を取り込んで自動で循環する噴水を【石工】や【魔術付与】を用いて設置した。


 ニクスは自分の手で囲い込んだ者には甘々なのだ。フローレアを最高の舞台で演出するつもりなのだ。



 一方で、フローレアの手が空いた時にはお茶をしたりもする。


 今日はフローレアの髪を弄って遊んでいた。ニクスに不敬だと言える者もなく、何より当のフローレア自身楽しんでいた。


「うん、お団子も似合うな、可愛い可愛い」


 ニクスのテンションの高い声が響き、フローレアはちょっと恥ずかしそうだが嬉しいのだろう、はにかんだ表情が一層ニクスのツボを刺激する。


 その様子を少し離れたところからルリが見ていた。最早制止することは放棄し、姫様が楽しそうだからいいかと良くも悪くもニクスに慣れてきていた。


「ハーフアップも似合うし、ポニテもいいんだよなぁ。ねぇ、ルリはどれが似合うと思う?」


「え?私ですか?」


 ニクスもルリネイアのことをルリと呼ぶようになっていた。そして巻き込んだ。


「ねぇ、ニクス様。いまいち自分では感触が掴めませんのでルリにもしてやってくれませんか?」


「ああ、その方が客観的に見れていいかもしれないな。ルリ!こっちに来て!!」


 やむを得ず近寄ると椅子に座るよう、手でポンポンっと叩いて示される。

しばし躊躇するも主であるフローレアも敵方である。逃れられるわけもなく半ば自棄で座るとニクスの手がルリの髪を梳き、優しく操る。引っ張られて痛いということはなかった。


「これがお団子、でこれがハーフアップ」


 するすると小気味よくニクスの手が動きルリネイアの栗毛がするすると形を変える。


「まぁ!はーふあっぷも良いですけど、お団子は大人っぽさも感じられてルリに似合うわね」


 胸の前で手を合わせて感嘆の息を漏らすフローレア。


「ポニテにツインテ……はやめておこっか」


 幼い感じになったルリが顔を真っ赤にして睨みつけたのでツインテールはスルー。

フローレアは満足そうにしていたが……。


「後は編み込みかな」


 魔法のように編んでいくニクスの手。


「まぁ!ルリ、綺麗よ」


「ニクス様、姫様には編み込みというのが似合うと思います。教えてもらえますか?」


 ルリが勢いよく尋ねてくるので思わず頷いてしまう。


「フローレア、うしろむいて」


 実際にやらせながら説明するニクス。


「ニクス様も似合うと思いますわ」


「え?」


 ルリがフローレアの、フローレアがニクスの髪を弄り始める。


 なんとなくニクスもルリの髪で編み込みの他のパターンを試す。


 “女三人集まれば姦しい“はこの世界でも同じようで楽しそうな声が響いていた



 りはしなかった。

忙しそうに走り回っている官吏たちを気遣かって結界を部屋に施して声が漏れないようにしていたからだ。


 そしていよいよお披露目の日がやってきた。

 髪を後頭部で一つに纏めた髪型を気に入ったルリは、時々フローレアたちと一緒でないときにするようになった。なんとなく気恥ずかしくてフローレアたちの前では下ろしている。


 一方で王宮内の披露を隠しきれない官吏たち。

官吏A「おい、あの娘かわいくないか?」

官吏B「あんな娘いたか?」

官吏A「もうちょっと頑張るか」

官吏B「いいところを見せようって魂胆だろ、無理無理。いっぺん鏡を覗いてこいよ」

官吏A「俺にもワンチャンくらい……」


 ちなみにフローレアもニクスもルリがお団子ヘアーを気に入っていることを知っています。

フローレアに似合うと言われて表情に出ていたので。


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