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帰還

 牧場へと【転移】したニクス。

事故を避けるため、家から少し離れたところにふぅわりと着地したのだが、時間は真夜中だ。


 暗い中、ぼんやりと明かりがついているのは、メェテルが、ニクスがいつ帰ってきてもいいようにと燈しているのだろう。


 “帰ってきたんだ“という実感をひしひしと感じながら、明かりに向かってゆったりと歩き出す。


 旅行に行って帰宅した際に「やっぱり我が家が一番だなぁ」という様式美も今ならわかる気がした。


グォオオオ ブモゥー ゴッゴッゴ


 せっかくの風情を遮るような大きな音がした。

続いて地響きがBGMとして流れ出す。

点の何かがこちらに向かって来るかと思えば、次の瞬間には


         「え?」


 と一声漏らすのが精一杯で地面に引き倒されていて、暗くてわからないが、明るければ自然界にふさわしくない鮮やかな色が視界に広がっているはずだ。ぐいぐいと押し付けられて少しくすぐったい。ゴゴゴゴと鳴っているのは喉だろうか、ちょっと音が大きすぎて怖い。


 数10秒の間をおいて次に


      突っ込んで


 来たのは白黒の巨体…


      ではなくて


 直前で頭部から飛び降りたジーニャだ。

ぎゅ~ころの背に乗ってきた方が早いと思っていたのだろうが、ゆったりそうで時速60kmを超えるのだ。しがみついているのもきつかったのだろう、プルプル震えていた。


「お、遅いんだからぁっ!」


 ハシッと抱き着いて来たのを受け止めて背中を撫でてやる。私の腕に回される手がかわいい。

少し毛並みが荒れているかな?と思っているうちにこっこさんもやってきて1:多の押しくらまんじゅう状態になっていた。


「みんな、ただいま」


 答えるように皆が鳴く。

私以外の人が居たら気絶しそう。


 毛皮に包まれている。

しかしみんなそれぞれ感触が違う。

もふもふにさらさらにマフマフにゴゾゴゾ。


「皆全然言うこと聞いてくれなくって大変だったんですよ。もったのは精々半日です」


 少し膨れた様子でそんな不満がもたらされる。


…そういえばできる子なメェテルだけど、料理は壊滅的なのだった。見かけは私より綺麗なのに味付けが尖り気味なのだ。彼女も獣化するや否や他の子を押しのけるように寄ってきてもこもこが加わると、大立ち回りをしたこともあってか眠気が押し寄せてくる。


 みんな違って、みんないいってこういうことか~。じゃなくって、何か、大事なことを忘れているような…。


 ニクスの意識はそこで途切れた。


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