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牧場の錬金術師 ~地雷職を極めた私はゲームだった世界に無双転生~  作者: 夢辺 流離
プロローグ ~ 怠惰なる牧場の一日 家族紹介~
3/200

説明は朝食の後で

 誤字など修正しました。


 ブックマークしてくださった皆様、ありがとうございます。


最低でも週に一度更新していく予定です。


これからもよろしくお願いします。

「メェテル!おはよう。一緒に起こしてくれればよかったのに」


 そう言って片頬を膨らませるニクス。

最も、自分で起きればいいわけで、ニクスの言い分は一方的で責任転嫁も甚だしいところだったが、言われた方のメェテルは穏やかに微笑みながら


「申し訳ありません。余りにも気持ち良さそうに眠っておられたので起こすのに忍びなくて。今度から気をつけます」


 頭を下げると髪質なのか緩やかに巻いているのに サラサラの金髪が揺れ、小さな三角形が見える。ときおりピクピクっと動いているのはそれが耳だからだ。側頭部というより頭頂部から左右にすこしズレた位置にある。そんな若干の違いを除けば、パンツスタイルのスーツに似た格好も相まってできる秘書のようである。


「昨日もそう言ってたじゃない」


 ニクスがそう言う。

確かに事実で、毎朝そう言っている癖に直そうという気配は微塵も感じられない。


「毎日起こさないよう気をつけております、ふふふ」


 ニッコリと目を細めて笑う様子はとても綺麗で、いつも見惚れてしまうのだが、どうも子供扱いされている気がして悔しい。


「さぁさぁ、さっさと済ませてご飯にしてしまいましょう。報告はその時に」


 そう言ってどこに持っていたのか紙の束を掲げて見せる。


「ぎゅ~ころ~、おいで」


 こっこさんにもしたように牛のデフォルメマークの描かれたブラシで身体をこする。

ぎゅ~ころは身体がとても大きいので一苦労だ。始めはブモゥブモゥと鳴いていたのに静かになったなぁと思ったら目を閉じて鼻をスピスピして寝ていた。


「終わりっ」


 と横っ腹を叩くも、その毛皮に衝撃は吸収されて音一つしない。ぎゅ~ころも反応一つしないので、


 スキル【浸透波】を使う。


「ハッ!」


 雪の結晶に似た黒い模様に掌打を軽く見舞うと、ブモッと鳴いて身体を5cmほど浮かせ、パチッと目を開き周りをキョロキョロする。


「ほら、お外に行っておいで」


 と言って身体を撫でてやると、甘え足りなさそうにしながらも、ニクスに身体を擦り寄せながら獣舎を出る。


「畑の雑草よろ~」


 と追いかけるように声をかけると、ブモモォオオと力強い声が返って来た。

翻訳すれば


「俺に、任せとけ~!」


 といった感じだろう。ぎゅ~ころは牝だけれど。


「あの子、前もそう言って収穫間際の人参食べちゃってたのよね……ご飯が終わったらついててね、ジーニャ」


「今日はこの前見つけた取っておきの場所でお昼ねするつもりだったのに!でも、ぎゅ~ころに任せておいたらシチューの中身が寂しくなっちゃうんだから!仕方ないわね」


 不満タラタラにジーニャは言うが、仕事はしてくれるらしい。


「さぁって、さっさと掃除終わらせて朝ごはんにするわよ」


「もうお昼ご飯ですけどね」

「もう、お昼ご飯だけど」


……メェテルとジーニャはスルーしてくれなかった。


 こっこさんたちは普通の動物たちより賢い。

排泄は決まった場所でしてくれるので、滑って転ぶということもないし、汚れがひどくない。


 それでも生活していれば敷藁が踏まれてぐちゃぐちゃになっていき、環境は悪くなる。

ニクスとしても、皆には気持ち良く過ごして欲しいのだ。


 そして誰もいなくなった獣舎の入口でパンパンっと手を打ち鳴らし、頭を下げる。


 目を開き、顔を上げると


   ピカピカになり、式藁が綺麗に地面を覆っている獣舎があった。


「うんうん。気持ちいいぞ!これでスッキリご飯が美味いってなもんだ」


 鼻歌混じりに歩き出し、ふわふわと浮いた円筒形のモーミルとこっこさんの卵が後をついていく不思議な光景が広がり、見慣れているにも関わらず興味深そうなメェテルとどうでもよさそうなジーニャが続く。


 勝手口で靴を脱いで屋敷に入る二人と、めんどくさそうに側の雑巾に足の裏を擦りつけている一匹。台所に入ると二人分の平皿とコップ、ジーニャ専用のお皿を出す。陶器製の大きめな皿はジーニャがねだりにねだったもので少し重たいがひっくり返しづらい。精緻な植物が描かれたそれはニクス達の皿よりよほど値が張る。

実はそれなりに有名な陶芸家の作品で、評価が上がってきているのだが、ニクスたちは知るよしもない。ねこに陶器。


 リビングの円形の机に皿を並べ、床にジーニャ用のご飯ざらを置く。めいめいは並ぶ皿を考慮して席に着き、手を合わせる。ジーニャは肉球のせいで音はならないものの、同じように手を合わせる。


     「「「 いただきます。 」」」


小さく礼をして目を開けると、コップとジーニャのご飯ざらには温めのモーミル、二人の皿には焼きたてのフレンチトーストが湯気を立てて、甘い香りをくゆらせる。


「相変わらず不思議なものですね」


 上品に、かつ勢いよくモーミルまっしぐらなジーニャを余所に、メェテルはそう呟いた。



 ニクスたち、やっとご飯が食べられ……


ニクス「……」

メェテル「……」


 ごめんなさい、睨まないでください(>_<)

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