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月下のお茶会 フローレア5

「…先日、帝国の王子がお見えになられたはずです。帝国とは定期的に交流を計っており、交互に王族の者が行き来しあっているのです。今年は王国が招待する側だったと言うことですね」



 血の気の引いた表情でそう言うフローレアにニクスは首を傾げる。


「何か、伝聞系じゃない?」


 思わずそう尋ねるのも無理はなかった。


「…私は、私と私の侍女達はこの塔に留めおかれ、外出は禁止されていたのです。私と面識のある兵士達も護衛ということで塔に配置されていました。つまり事後に話を聞くことしか出来ませんでした」


 ニクスは眉間にシワを寄せる。


「お見えになる日は確かに騒々しかったことは覚えています。ただ、晩餐会に謁見、お茶会など何日にもわたるはずにも関わらず翌日から城内に熱気が感じられなかったので不思議には思っていたのですが。それ以降私は一層外部との接触が厳しく取り締まられるようになりました。」


 一旦話を区切り、口を湿すフローレア。


「事が動いたのは帝国の侵攻からです。町からの急使に慌てたのでしょう。派遣する兵士に私の知人が紛れこんでくれました。それを侍女経由でなんとか情報を回してもらいました。一つ気になったのが、町を襲った兵士たちが、『王国は帝国を蔑ろにした』と言っていたらしいのです。王国と帝国の仲を乱すための策略という可能性もありますが、それで得をする者が思い至りません。なので素直に受け取るなら訪問の際に何かあったのではないでしょうか」



 もし城内の悪趣味な装飾が、帝国王子の訪問に際して行ったものだとすれば、それ以外にも相手を不愉快にさせることをやってそうだなとニクスは納得してしまった。


「ねぇ、フローレアはどうしてこんなところにいるの?」


 ニクスの口から飛び出したのはそんな突然の言葉だった。


 私の家は妙に畑が広いです。


食べる以上のものが採れてしまうのも困りますが、草むしりが酷い。


お盆に向けて綺麗にしているのですが、腰にくるわ。家庭菜園くらいの規模でいいと思います。

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