月下のお茶会 フローレア2
「そっちの呼び方はあまり好きじゃないんだ。ニクスって呼んでよ。」
ニクスが困ったように言う。
「まぁ!愛称で呼ぶ許可を頂けるなんて!光栄です。それではニクス様と呼ばせていただきますね。」
ひどく興奮して嬉しそうなフローレア。
「フローレアもさ、後ろに何かつくんじゃない?例えば
フォン・アール
とか」
それを聞いたフローレアのビクッとした反応が何より雄弁に真実を物語っていたが、
「その名は代々の陛下のみが名乗ることを許されるものです。私にはその資格はありません」
紡がれた言葉は真逆だった。
「…それがこんなところにいる理由?王族が住むのに相応しいとは思えないけど」
もっともである。
「そうでもありませんよ。月が綺麗ですし、変わったお客様が見えて、貴族の令嬢たちのとは違う、無駄に気を張らずに楽しめるお茶会が開かれたりしますから」
そう言って上品に笑うフローレア。
「あ、このクッキー美味しいです。ふふふ、甘いものはあまり食べられる機会がないので嬉しいです。」
異次元倉庫から出したクッキーは出来立てのままホカホカだ。それを食べる様子も上品で、寝転がりながらパクついていた自分が恥ずかしくなるニクス。
「今回のことは申し訳ありませんでした。ただ言い訳させていただくなら、ことの発端は帝国の動きにあったのです。」




