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月夜の逢瀬 ~ Shall we dance ?  ~

 離塔と言えば響きは悪くないが、実際のところそれは牢獄での監禁に他ならない。


 対称になっているもう一つの塔は犯罪を犯した貴族を閉じ込めておく牢になっているのだからあながち間違いでもないだろう。


 石造りの少し無骨ではあるが、バルコニーがあるのが救いだろうか。3階に位置する部屋で少女が一人、天蓋付きのベッドに腰掛けていた。明かりは燈されていないが、月に照らされて暗いということはない。


 各パーツがピタリと配されており、顔つきは整っている。微かに赤みが混じったプラチナの髪を首の左右で三つ編みにしている。

瞳の色は透き通るような碧色で 垂れ目がちでありながら強い意志故か力強い印象を与える。


 薄く柔らかい素材のワンピースを着ている。することもなく、いつもならさっさと眠ってしまうが、今日は興奮して寝付けなかった。


 色気のある理由ではなく、昼間の騒動が原因だ。


「ハァ。あれが、“真人“と呼ばれた人々。私より年下の女の子があの場にいた者の武器一切と身動きを一瞬で奪ってしまうなんて」


 弾むような声の響きには熱が篭っていた。


 いや、声だけではなく、彼女の表情は炎の揺らめきに照らされるようだ。


 だからそれは偶然だった。ほてる体を冷まそうとテラスへと出たのは。


「風が気持ちいい」


 手すりに手をかけ、綺麗な満月を見上げる。





「やぁ、いい夜だね。そっちに言ってもいいかな?」


 そんな声が


   下から聞こえ、


 部屋に戻り兵を呼ぶのが正しい選択にも関わらず、思わず声の方へと視線を向けてしまった。


 そこには


  壁に垂直に立つ

 

 さっきまで思い浮かべていた人がいた。 


 月明かりのスポットライトを浴びるプラチナブロンドは昼見た時とは違った印象を与える。どこか消え去ってしまいそうな透明感と静かな力強さという一見矛盾するような雰囲気が同居しているのだ


「は、早くこちらに!」


 夜ばいをするならこの手に限る(心配して引き上げなきゃという気にさせる)とばかりに許可を得たニクスは軽々と飛び上がり(壁面を蹴り上がり)、音もなくテラスへと着地した。


「こんばんは、夜会…月見のティータイムに誘いに来たよ」


 最早フリーズ状態の少女の手を取り、片膝をつきながら見上げるニクス。


 招待状もなく、先触れもなく招待する側がやってくるという礼儀も何もなかったが、少女に頷く以外の選択はなく、ニクスは満足気に微笑んだ。


 少女の頬に再び朱が指していた。 

ニクス「流石にちょっとやり過ぎた。照れる(〃д〃)」

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