表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/200

閑話 タキタテ

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 皆様のブックマーク、評価により100ptを超えましたので記念におまけ話を投稿します。


 私はタキタテがかわいくて好きなので、彼に不憫な思いをさせるのがしのびないのですが、猛獣がショボンとするのって可愛い気がしてついつい。悪いと思っているけどやめる気はまるでない。


 あー早く牧場に帰らせたい(ぉぃ


 それでは皆様、これからもお読みいただければ幸ですm(__)m

 タキタテは魔物の中でも最高位にあたる魔物である。派手に魔法をぶっ放したりはできないが、強靭な足は時速120kmで走り続けられ、直径2m程の巨木すらも軽々と引き倒すことができる。下手な状態異常にはなりにくいしすぐに抗体も作られる上に体力の自然治癒能力も高い。

 生物として頂点に君臨する存在でありながら、ニクスの一言で一喜一憂し、じゃれつくのはどこか不思議な光景だ。


 ニクスの牧場で供に暮らす仲間(魔物)たちは仲が良さそうに見えるがそんなことはない。もし、彼らが牧場の外で出会っていたら巻き込まれただけで人間は死んでしまうであろう未曾有の災害が起きる。ニクスが家族が仲が悪いと悲しそうにするので、牧場内での争いは厳禁という共通の認識が生まれた。


 その代わりに発生したのが、ニクスの寵愛を巡る争いである。ニクスに自分が一番愛されたいと各々が努力する中で焦ったのはタキタテである。


 ニクスはぎゅ~ころのモーミルやコッコさんの卵を得た時にとても嬉しそうにする。いや、タキタテ自体分けてもらったモーミルやコッコさんの卵で作られた料理はとても美味しかったのだ、気持ちはよくわかる。


 一方で自分は、と言えば戦うことしかできない。そのことを考えると耳がぺたんとして、尻尾もシュンとしてしまう。


 かつて、最強で何でもできるような気がしていた自分をマッハねこパン☆で吹っ飛ばしてやりたい気になってくる。牧場で住むようになって他の魔物たちにも敬意を払うようになった。


 とは言え、これは話が別だ。

自分だってニクスに好かれたい。そう思って夜の見回りを引き受けた。


 メェテルの特殊スキル、【深眠】。

効果は睡眠効果を持つスキルを強化する。

ニクスの疲労を取っ払うため、ニクスが眠る時には深い眠りにつかせている。簡単に起きることはない。ニクスはメェテルの上で眠るとなんかぐっすりなんだとしか思っていないが。


 とまれ、夜間の警備は極めて重要なのだ。結果としてニクスと一緒の時間が減るけれども。


 タキタテの有能な点のもう一つがアタッカーでありながら探知能力の高さである。抜群の視力と聴力、そして触感によりいち早く周囲の情報を取り込むことができる。


 それをこれまでの経験と兼ね合わせることで数秒先の未来を予見したり、危険を感じ取ったりできる。


 全身を逆毛立てる様子は、「○さん、妖気を感じます」を思わせる。鬼○郎と名付けられそうになっていたのは知らないほうが幸せだろう。



 ある日の夜、いつもたいしたことも起きないにも関わらず油断のないタキタテが、一方向から数百人、下手をすると千人程の気配を読み取り静かに体を起こした。


 まだ距離があったが、この人数で牧場を囲まれたら流石にどこかを壊されるかもしれない。

ニクスを守るということはニクスの持つ全てを守ることだ。


 一塊になっているうちに追い払うべきだと判断したのである。



 一方、謎の集団達は規律正しく動いていた。自分たちの存在を気取られぬように火も使っていない。


 よく訓練されていた。ただの夜盗崩れではありえなかった。


「あの建物はなんだ?」


 彼らの一人がそう言うと、


「王国の秘密の研究所とか?」


 普通の動物より巨大な魔物の獣舎もそれに応じて巨大である。王国から離れた僻地に立てられていることも鑑みれば、彼らの発想も無理はなかったのだ。


 


   ギュイン


 とでも音が鳴ったかのように2つの光の玉が宙に浮かぶ。


「なんだっ!?」


 ねこ同様タペタムという反射板を持っているタキタテ。暗闇で爛々と輝くそれは、体のサイズに比例して大きく、人魂でも見たかのように怖じけづく集団。誰かが思わず放った矢も地面に突き刺さる。


「幽霊だ!」


 誰かの声が起点となって一斉にパニックになった集団は来た道を慌てて走り去ったのだった。



 タキタテは首を傾げたが、牧場に戻らなくちゃとその場を後にした。このことにより、知らず不憫な思いをするのだが、知るよしもないタキタテは真面目に警備を続けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ