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やっぱり家が1番だなぁ


   「ぐす、もうやだ、お家帰る~。」


半泣きのニクスはすっかりホームシックになっていた。


 何を言っているのかわからないかもしれないが、ありのままを言えば、ニクスの考えが甘かったの一言に尽きる。


 決して押さえられた宿がひどかったわけではない。貴族や王族といった立場ならともかく、平民には一般的なものである。


 ニクスも始めは普段とは違う環境を楽しみにしていたのだ。晩御飯は決められた時間の間に併設の食堂で食べられるということで、ちょうどいい時間だったのでご飯を食べてから部屋に行こうと鼻唄混じりで食堂に向かう。


 他の宿泊客たちも食堂に向かっており、ニクスに自然と視線を向けてしまう。時に見惚れて、時に微笑ましいものを見たという具合に。


 宿泊客以外の客も訪れるらしいが、部屋の鍵を見せると本日のオススメ定食が無料になるのだ。それ以上を求める場合は別料金だ。


 フォークとスプーンをそれぞれの手に、椅子に座って足をぶらつかせて待つこと20分ほど、湯気を立てるビーフシチューに焼きたてのパン。

パンは3つまでおかわり可能。


 早速ちぎったパンをシチューに浸して食べる。


     ニクスの表情が固まった。


決してマズイわけではない。事実他の客達は歓喜して口に運んでいたし、おかわりするのも早い。


 彼らの食事に水を差さないよう笑顔を貼付けてシチューとパン、最初に与えられた分を食べ終えてその場を後にした。


 2階の204号室がニクスの部屋だ。

行きとは打って変わってテンションを落としたニクスはゾンビのように身を引きずって歩き、鍵を開けて中に入るとベッドに身体を沈め……


       られなかった。


 シーツは綺麗に洗濯されていたし、部屋も掃き清められていた。


  ただ日頃のニクスの生活の方が贅沢だっただけで。


 塩が貴重品で節約されていたり、そもそも調味料が乏しい。だがそれはこの世界では普通、むしろ食堂では贅沢に使われていた方で、他の宿泊客が喜んでいたのはそのせいだ。


 だが、ニクスにとっては半端に加えられた塩だけのどこか締まらない味だった。パンもいつもふわふわでうっすらと甘味を帯びた発酵パンを食べているのでそれと比べれば保存食か?というレベルだったのだ。


 もちろんベッド(メェテル)は言うまでもない。旅行から帰ってやっぱり家が1番だというのを帰る前に実感したところで、冒頭に至る。


 結局【転移】で牧場に帰還したニクス。

メェテルは驚いたがどこか嬉しそうだった。

目尻に涙を見つけた時は王都を滅ぼしに行こうとして止めるのに苦労したが、事情を聞いて機嫌が180度変わった。

 ご機嫌でお風呂でニクスを磨いて、その身をニクスに差し出した。

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