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自分嫌い

作者: 中村優介

 俺は自分のことが嫌いだ。昔、自分がされて嫌なことをするなと言われて、だれにも話しかけなくなり、どんどん孤立していった不器用な自分が嫌いだ。みんなのいいところを書いてその人に渡すという授業があったときは、みんなのいいところを書いて配っていったが、俺のいいところの紙が一枚も来ず、夜に泣く泣き虫みたいなじめじめしたところが嫌いだ。毎日、学校に行ってそいつが困っているのを見たとき、一瞬でも躊躇し、自己保身に駆ける、最低で臆病なところが嫌いだ。そんな俺にでも声をかけてくれたそいつに、うまく言葉が返せない口下手なところが嫌いだ。それでも、その人は、いつでも笑顔で声をかけてくれる。自分の居場所ができたって思うと、安心する自分の単純さが嫌いだ。放課後の教室でその子は俺に言った。「いままで、ありがとう」って。その子が何をするか気づけなかった自分の愚かさが嫌いだ。俺に居場所がなくなったことを知り、その子を思いながら泣く自分の弱さが嫌いだ。その子に何があったのか知ろうとして行動する小っちゃな勇気が嫌いだ。学校の奴らにやられていたことや、その子の家の、気分が悪くなるような環境を見て怖気づいてしまう臆病さが嫌いだ。そもそもの原因の奴らを殺そうと考える凶器な考えが嫌いだ。結局何もできずにようやく自分の無力さに気づく遅れが嫌いだ。そうやって自分の嫌いなところを何個も、何個も。何個も・何個も何個も何個も何個も何個も何個も何個も何個も何個も何個も何個も何個も何個も。


 俺は考えることをやめた。今自分の嫌いなところを探すんじゃなくて、現状を打破するための策を考えないで、自分のことを責めるガキに何ができるかと。さて、じゃあ始めようか。底辺からの逆転劇を。

 とまぁ、かっこつけたはいいけどできることは限られている、今の自分に何ができる?最善の策を打ち続けないと何事にも勝てない。勝たないといけないことは、何個もできている。しかし、肝心の勝つための時間も策もまだ何一つできていない。じゃあどうするか、現状を打破するにはどうするべきであるか。俺は考える


 さいころを転がして100回とも全部6の面を出すことができるかといわれると大半の奴はNOとしか答えない。だが、何億分の一、何兆分の一の確立では可能だろう。だがしかし、そのさいころの面を全部6の面にしちまえば100発100中になるわけだ。もちろん、そんないかさまが許されるわけもないし、そんなペテンがあってたまるかというが、それをやれることができる。それが俺の人生にでもしておこう。最後に一つだな、俺は卑怯者の自分が嫌いだ。だけど何かのためにでも死に物狂いで、自分の一生をかけてでもそいつに恩報いるという正しさに気づくことができた俺の心はちょっと好きだ。

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