とおりませ?と怪談話
♪~とおりませ とおりませ
ここは何処の細道か
〇〇元へと到る(つづく)みち
御用のないものとおしゃせぬ
この子の七つのお祝いに 両のお札を納めます
行きはよいなぎ かえりはこわき
こわい こわいながらも
とおりゃんせ とおりませ~
♪とおりゃんせ とおりゃんせ――――――――
変な「とおりゃんせ」の歌が寺の境内から聞こえてくる。
みてみるとフード付きローブ?と着物に似た服を着た11・2歳くらいの子がいて、
まりをつきながら桜の木の下で歌っていた。
が、こちらに気付くとすぅーーーっと消えていった。ニヤリと哂って・・・
怖っっっ。
なにそれ、怖っっ。こわいって。 えっ、なに?ゆうれい?それとも妖怪?
「おや、こんな山奥の寺にあの子以外のこんな若い人が、
それもこんな平日に来るなんて珍しいですね。
おやおやっ、顔色が悪いですね。どうかしましたか。」
俺が固まっていると、寺の住職らしき優しそうなおじさんが来た。
[こ、子供がすぅっと、き、消えて・・・]
「ああ、あの子に会われたのですか。ふふっ。驚かれたでしょう。――――」
後から住職に聞くと、あの子は昔、偶々訪れた際当時いた人に良くしてもらったとかで、
あの寺のことと気に入って偶に遊びに来るらしいのだが、気が付くと居なくなっている
神出鬼没で不思議な子なんだそうな。
で時々俺みたいに化かされるという話もあるあることにはあるが、
こちらから手出ししなければ特に害はないとのことだ。
ただ、こちらから手を出し、害を為すと・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・とっっっても酷い目に遭うんだとか・・・。
そして、手を出してしまったら・・・、
その人は・・・あの子が消えるとき、
どこからともなく鎖が伸びてきたり、
みえない何かにずるずると引っ張って行かれたり・・・・・、
とにかく何処かに引きずり込まれて、
二度と無事では帰って来なかったそうな・・・・・・。
ひとを呪わば穴二つ。人に与えたモノは巡り巡って還ってくるものらしい。
あなたも十分お気をつけなされ。
あなたの気が付かぬうちに・・・
あなたも何処かの誰かを気づつけているかもしれないのだから。
ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー
・・・というのが一年位前に俺が体験した話だ。]
時刻は真夜中、場所は学校の人気のないどこかの廊下で
ある少年少女6人が集まって百物語風の怪談大会をしていました。
「へー。そんなことがあったんだ。」
「それで、その子の正体は結局なんだったんだろうね。」
[さあな。さっきの話には続きがあってな。
連れて行かれた所はあの子の世界の冥界のような場所らしく、
帰ってきたときは骨か惨殺死体。若しくは、脳死状態か、
精神が完全に死んで人形のようになっていたりしたんだそうな。
一番良いので、精神を病んでそのまま二、三日のうちに狂い死に。
・・・とにかく酷いものだったそうな・・・。
ま、そうなったのはだいたい全員、悪徳なヤクザとか、酷いいじめっ子やら、
変態やら、マッドなんかという、ある意味出会いたくない奴兼悪者で、
ある意味自業自得な奴らだったらしいよ。]
「へーって、そりゃあ、よけぇ怖えーじゃねえか!!ん?ていうかお前
そのあとその寺に行ったことあんのか?つか、謎が深まっただけじゃん!!」
[hahahahahaha。ちなみにその子、和菓子と美味しいお茶で釣ってみたら、
“後始末”を住職がする代わりに色々と話してくれたそうな。
今では住職の茶飲み友達で、「何やってんですか住職?!」あははっ。
いや~可愛い仔猫みたいな子だったなぁ。
ずずっ、ずずずっ、っふ~。で、あの子が引きずり込んだのはあのこが作った世界らしい。
あっ、どうも。ッパク、もぐもぐ。おっ、これ美味しいね。もぐもぐ。ずずずっ。]
「っ!?あんたっ、それいつどっからだしたのよ。お茶と和菓子!!」
「というか、あれ?ユウの奴、さっき誰かからもらってなかったか?その菓子?!」
「え?あれ?なんか一人多くない?」
「は、はははははは。んなわけないじゃん。」
『そうそう考えすぎ、考えすぎ。だよね、ユウ』
[そうだよ。あっははははは。]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ!?
『ユウ、和菓子もう一ついる?』
[え?いいの?もらちゃって。頂きます。]
お菓子をもらうユウ少年
『どうぞどうぞ。ずずっ、あ~おいしい』
ユウにお菓子をあげ、自分はお茶を啜る見知らぬ子ども。
何故かさっきの話に出てきた子どもと特徴が一致するような…(汗っ)
「「「「「・・・・・・・・」」」」」
ユウ以外の者は無言で顔を見合わせた。
なぜか先程から背後から冷気も漂ってくるような・・・ゴクンッ。
・・・そろ~り。チラッ
・・・・・・・・・・・・・ええっ? ゴシゴシッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ?!
『ウフフッ。こ・ん・ば・ん・わ・☆(ニッコリ)』
振り返った先にいたのは、白いフード付きのローブを着た子供
その周りには・・・
たくさんの・・・夥しい数の幽霊と
魑魅魍魎がいた・・・。
「「「「「キャ/ギャアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー で、出たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」」」」
バタバタバタバタバタバタッ・・・。
{まぁ~~~~て~~~~~~~~}ひゅう~どろろろろろろろろろ~~~
{み~~~~~た~~~~~~~~な~~~~~~~~~~~}
{う~ら~め~し~や~~~~~~~~~~}
{この~恨み~晴らぁさでぇぇぇ~~~~~~~~~~}
{呪ぉてやるぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~}
{まぁ~てっ~~~~~~~~、つれていって~~~~~~~~~}
{おいてかないでぇ~~~~~~ここからだしてぇ~~~~~~~~}
{しくしくしくしく/きっしゃあぁあああああぁあぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁ}
{くすくすくすくす/くふふふふふふ/あはははははは/うふふふふふふふふふ}
{まぁぁぁぁぁぁぁ~~~~てぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~}
「「「「「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~っっっ」」」」」
ドタバタバタバタバタバタっ。
ドカッ。バタッ。
「痛った。まって~、おいてかないでよ~(泣)」バタバタバタバタッ・・・。
ー*-*ー*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
『ぷっ、ククッ、アハハハハハハ。まったね~♪なんてね。
プっ、クククッ、あ~変な顔。これだから人を驚かすのをやめられない。』
[は~、やれやれ。やっぱり出たか。おかしいと思ったんだよ。
あいつらが話す話全部が全部って訳じゃねえけど、
八割方実際にある怪異の話なんだもんなぁ。
事前にお札とか寺の住職に頼んで用意してもらった上に、
俺だけ幽霊とかに判らないように結界張って、
その上にまだ用心に用心を重ねてガセネタや、
ノアとかの関わる比較的軽い怪談話ばかり選んで話しててよかったよ。
あれは日頃慣れている霊感少年の俺でも怖い。]
額に流れる冷や汗を拭い、お札を懐から取り出し、
それをまじまじと見ながら言うユウ少年。
実は霊感あるからって半ば無理やりやらされていたのでした。
でも、やるからには楽しむがモットーなので何も言いません。
ただ、後で仕返しするだけです。先程のように。
十分楽しんだ後で。こっそりと。
・・・それ見たノアは、言う。
『あはははははは!さすが兎でもあり、猫でもあるユウ君だ!感が良い!
ちゃんと用心して、しかも自分だけちゃっかり逃げ道と安全確保してる!
ある意味ひどい!でもすげぇ!それが僕のツボにはまる!あははははははは!
それにしても、
夜に無断で学校に忍び込んで怪談なんてするから、つられて来るんだよ。本物が。
それも盆に。
プックククッ、クッハハハハハ。』
『・・・だから、あいつら何人か、助からないだろうねぇ。
あの魑魅魍魎の中には、結構力のある奴とか、人食い系とかいたし。
神隠し系とかも居たけれど、一番最初に逃げ遅れた少年は
真っ先にそれに遭ってたからそいつだけは、絶対大丈夫だろうね。
君が話してた中にあった比較的軽いやつの中の“一週間だけの神隠し”だったし。』
[ふー、よかった。あいつだけは助かって欲しかったから。
友達なんだけど、トロいから一番最初にやられるだろうと思ってたんだ。
うまく俺の救済処置の神隠しに遭ってくれてよかったよ。
今回自分のことで手いっぱいで、
具体的な怪異(神隠しだけ)の起こる順番をギリギリ操るのが精一杯だったし。
ふぅ~、ちゃんと引っかかってくれて安心した。]
『そう、よかったね。
今、どうなってるかな?千里眼で見てみよっと。
うっわ、こっわ!穢なっ!腐臭死体とかいっぱいだ!キモチワル!!
うわ~、よく逃げてるけれど、やっぱり四人に減ってる。
うわっ、鬼女だ!包丁持った鬼女がものすごい速さで追いかけてきた!
スッゲェ早えぇ。あっ、金持ち傲慢少女が捕まった!
鬼女が包丁振りかぶって・・・
「いッッッやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー」
すっげぇ悲鳴。だいぶ離れたここまで聞こえてくるなんて。
ケラケラケラケラッ。あーいい気味。いじめなんてするからだよ。ざまぁ。
ケーラケラケラケラケラッッ。あいつはもう駄目だね。
もう“こちら”には戻ってこられない。
ユウ、本当に君、用心に用心重ねた上、
僕を呼び出したり、お札用意したりしておいて正解だよ。
あれらは、昔からこの地に巣食うモノ達だ。
とても恐ろしい上に常人じゃ手におえない正真正銘の化け物と呼ばれるものだから。
あっ、二人目。やられた。結構外見気持ち悪いやつにガブッと丸呑みにされた。
あ、三人目、捕まってグチャグチャ死体。そのまま死体は妖怪どもが持って帰った。
こいつどんだけみんなから恨まれてんだよ!
面白いほど黒いものがザクザクだなぁ、おいっ。あっはははははは。』
[はぁ、楽しそうで何よりだ。ノア。]
『うんっ!!ほんと楽しい!!ざまぁみそらせって感じでっ!
よくこんなに恨まれるね!ある意味すごいよ!
そして、そんな人しか害に合わないように、自分がやってきたことに見合うように
陰から操作してる俺もすごいと思わない?ねぇねぇ?
・・・・・ごめん。そんな目でこっちを見ないで。調子乗って悪かったから。
・・・あれれっ、襲われるどころか逆に動物畜生系妖怪懐かせて
外まで送ってもらってるこの子だあれ?この四人目の子!
茶黒の髪の男前な顔した一人称“俺”の女子。この子誰?』
[ああ、そいつなら、一年五組の高村 有希サンじゃね。
始まる前、自己紹介した時に確かに一人称“俺”だったわ。
そんなやつ今回高村さんしかいなかったし。
で、高村さん、うまく逃げれた?]
『うん。逃げ切れた上、妖怪を昇天させて、帰っちゃった!ケラケラケラッ!』
[なんじゃそりゃ!あっはははははははは!
さて、俺以外の最後の一人も消えたし、怪談大会もこれにて終わり、だな。
じゃあ俺は後片付けして、警備員さんに見つからないうちに帰るね。]
『うん。気を付けて帰ってね~。
こんな面白そうなことならまた呼んでね。だから・・・
またね。ばいばい。―夢旅 優クン―』
[おうっ!またな。ノア!]
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*-*-*-*-*-*-*-*-
次の日、怪談大会に参加していて、学校に来たのはユウと高村さんの二人だけ。
あとの四人は行方不明扱い。
後、一人は一週間後、学校近くの公園で寝ているところを発見されたが、
行方不明になっていた間の記憶とそうなる少し前の記憶がないそうな・・・。
他三人は、依然として行方不明。時が経つにつれ、忙しい毎日に忙殺され、
この三人のことは忘れられていきましたとさ。
―――これはある夏の日の夜の怪談話―――
続く?
いやいや、続きモノかも?
・・・気が向けば。
※追記※
ユウが持ってたお札はノアが出没した寺の住職に用意してもらった、かなり効くお札です。
最後に出てきた高村 有希サンはまた別ので登場する予定。
ここまで読んでくれてありがとうございました。