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「私たち、最初から味方同士でした」~偽りの不仲が、本物の溺愛に変わるまで

作者:月雅
最終エピソード掲載日:2026/03/28
前の人生では一人で走り続けて倒れた。 誰かに頼る方法を知らないまま終わった。

目を覚ましたら貴族社会の侯爵令嬢になっていた。 しかもこの世界には筋書きがあって、一年後に私は公衆の面前で罪を着せられるらしい。

仕掛けるのは聖女を名乗る少女と、彼女に心酔した王太子。

待っていても詰む。 だから私は先に動いた。 王太子との婚約を自ら解消し、社交界で誰にも相手にされていない伯爵家の剣士に共闘を持ちかけた。

この男、剣しか能がないと笑われている。 けれど私は知っている。その無関心の下に、宮廷の裏を把握する頭脳が隠れていることを。

条件は三つ。 人前では不仲を演じる。 聖女の嘘を暴く証拠を集める。 期限は一年。

完璧な契約だった。

ただ一つ、想定外のことがある。

この共犯者、なぜか毎朝お菓子を焼いてくる。 偵察で覚えた製法を試したいと言い張るけれど、焼き上がりは毎回私の好みの甘さ。 社交界で嫌味を言われた日に限って、帰ると温かいスープが待っている。

作戦に必要かと聞けば、共犯者の体調管理だと返される。

嘘つけ。

前の人生で手に入れた段取りの技術と、この世界で手に入れた共犯者。 二つを武器に、私は聖女の支持基盤を静かに崩しにかかる。

けれど敵も黙っていない。 社交界の中傷、王太子からの圧力、孤児院への妨害。 予測できたはずの筋書きが、少しずつずれ始めている。

不仲のふりをしている二人が、本当は何を積み上げているのか。 社交界がそれを知るのは、すべてが決まる夜になる。

そしてその夜が終わった後、この契約はどうなるのだろう。

毎朝届く焼き菓子の理由を、私はまだ聞けていない。
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